土肥:軍港めぐりの乗客数が右肩上がりで伸びているそうですね。2016年は過去最高の24万人まで伸ばし、累計で100万人を突破。今年も順調に伸びていて、過去最高を更新する見通しだとか。なぜ乗客数が伸びているのか、その理由をお聞きする前に、どういったきっかけでこのクルーズを始めたのでしょうか?
鈴木:汐入ターミナルから出港して、横須賀港を45分ほどかけて巡る――。いまの形の軍港めぐりは、2008年にスタートしました。以前は汐入ターミナルの近くにある三笠桟橋というところから出港していたんですよね。1998年に、ゴールデンウイークと夏休みの土・日曜日限定のクルーズとしてスタートしました。
土肥:いまの軍港めぐりは年中無休ですよね。当時のクルーズはなぜ期間限定だったのでしょうか?
鈴木:地図を見ていただければ分かるのですが、三笠桟橋から艦船を見るためには、外海を通らなければいけないんですよね。外海を通るとなると波の影響を受けるので、「定期運航」をうたっていても、欠航、欠航、欠航となってしまう。というわけで毎日船を出すことはできなかったのですが、いまのターミナルに移転することで、定期運航ができるようになりました。
土肥:米海軍の原子力空母が停泊していたり、海上自衛隊の護衛艦などがたくさん並んでいる。そんなところにクルーズ船を走らせるのは、さまざまな障壁があったのでは?
鈴木:ひとつひとつじっくり調整していたら、いまだに実現していなかったかもしれません。法律上、横須賀湾にクルーズ船を走行させるのは問題なかったので、とりあえずやってみました。ただ、米海軍や海上自衛隊からすると「ここは自分たちの海だ」という意識があったのかもしれません。それまで自由に運航していたのに、クルーズ船がやって来ると、それを避けなければいけないので、「邪魔だなあ」「面倒だなあ」と感じた人が多かったと思うんですよね。
ただ、法律上の問題はないからといって、何をやってもいいというわけではありません。例えば、お客さんがたくさんいるので、クルーズ船をどんどん運航させるのはよくありません。紳士協定のような形で、1日に通れる回数に制限を設けました。
ちなみに、98年のとき、私は船長をしていました。停泊している艦船の横を通るときは……「怖かった」ですね(苦笑)。
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