11月14日に日馬富士の暴行疑惑をスクープした某スポーツ紙で、貴乃花親方はこれまで長々と評論家を務めている。両者の関係が深いという点も非常に気がかりだ。ただ、もっと言えば何よりも協会内にこのようなドロドロとした勢力争い、そして重大問題が起きても隠ぺいしようとする体質がいまだに残っていることこそが相撲界にとっては大きなマイナスと言えるのではないだろうか。
今月3日の時点で伊勢ヶ浜親方、貴乃花親方に協会側は電話でのヒアリングを試みたものの進展しなかったために一度調査を打ち切り。そして前出の某スポーツ紙上のスクープ報道によって問題が発覚(11月14日)して、慌てて危機管理委員会を設置し、調査を再開することに。つまりは最初の電話ヒアリングの時点で両親方の言葉を信じ込んだ協会側は、きちんと調査をしていなかったということだ。
「余談だが、横綱の暴行問題は今月上旬の時点で大半の力士たちの耳に入っていた」と言われるほどに、この話は角界内に広まっていた。そうした状況にもかかわらず、協会は最初から事態を重く見ることができてない上、あわよくば隠ぺいしようとした逃げ腰の姿勢まで見え隠れしているところにはガッカリさせられてしまう。
大相撲は再び「暗黒時代」が到来してしまうのか。いや、違うと信じたい。プラスに考えて逆に言えば、日馬富士の暴行問題はすべてをリセットするいい機会ととらえるべきではないか。さらなる大幅な体質改善を断行し、もう一度相撲の絶頂期を迎えられるように今一度真剣に考える時が来た。
国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。
野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2017年第4回まで全大会)やサッカーW杯(1998年フランス、2002年日韓共催、2006年ドイツ、2010年南アフリカ、2016年ブラジル)、五輪(2004年アテネ、2008年北京、2017年リオ)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。
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