人気の「コンパクトホットプレート」、開発の舞台裏に迫るあの会社のこの商品(2/4 ページ)

» 2017年11月23日 08時34分 公開
[大澤裕司ITmedia]

なかなか期待通りの品質が出なかった本体とフタの加工

 実際に製造現場に入り管理体制などもチェックした上で工場は決めたが、試作段階で問題に直面。当初は期待通りの品質を実現できなかった。

 直面した問題は本体とフタの加工。本体とフタは金属をプレス加工してつくっているが、本体底の角をしっかり出すことや、端面を内側なり外側に巻くところに苦戦。特に端面の加工ではひずみが発生し、シワが入ってしまった。「1枚の鉄板を加工するため、ひずみを分散させて加工するのが大変でした」と宮崎氏は話す。

 問題の原因は、金型と加工法にあった。問題が発生するたびに、金型を修正しては試作加工。数週間、試行錯誤を繰り返したが、端面を巻く工程の直前に、ある工程を追加することで問題を解決したという。

 当初は苦戦したものの、コンパクトホットプレートはこうして量産に入ることができた。宮崎氏によると、日本のある大手企業がコンパクトホットプレートの仕上がりを見て「よくできたね」と称賛したほど、仕上がりの品質は高いモノになったという。

積極的なレシピ開発と限定色の投入

 コンパクトホットプレートは発売後、特段目立った販促などは行わなかった。その代わり力を入れたのが、レシピや使い方の訴求だった。特にレシピは、レシピ本を発売したほかほぼ毎月にわたって新レシピを公開するほどの力の入れよう。アンバサダーと呼ばれる外部パートナーがレシピを開発し、これまでに300近くのレシピを発信してきた。

 レシピ情報の発信とともに販促面で力を入れているのが、限定色の定期的な投入である。限定色の投入には、季節性を打ち出すことと選べる楽しみを取り入れる意味があり、これまでにネイビー、パンプキンオレンジ、グリーン、ブルーグレー、カスタードイエロー、オリーブグリーン、ブルーノブルーなどを投入してきた。

 「限定色は春夏と秋冬の年2回、発売していますが、その時季に合う色やよく出てくる色を使います」と話すのは、インテリア商品部マーチャンダイジンググループの間瀬尚子氏。ただ、これまでに相当数の限定色を出してきたこともあり、お客さまを飽きさせないよう、色ではない限定モノの企画を練っているところです」と宮崎氏は話す。

 こうした取り組みの成果が実ってか、コンパクトホットプレートは16年から売れ行きが急激に伸びるようになった。16年6月末時点の累計販売台数が40万台なのに対し、1年後の17年6月末時点の累計販売台数は倍近い73万台。1年でいかに急激に伸びたかがお分かりいただけるだろう。

 販売台数の急激な伸びについて、取締役マーケティング&セールス本部長の星野智則氏は、次のような見解を示す。

 「最初に飛びついたのは独身女性で、その後夫婦二人世帯へと広がり、さらにはファミリー層へと客層が広がっていきました。それに2016年ごろからメディアへの露出も増え、これに伴って人気に火がついた感があります」

イデアインターナショナルの宮崎直理氏と間瀬尚子氏

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