47都道府県のポテチが売れている、開発の狙いは?あの会社のこの商品(2/5 ページ)

» 2018年01月05日 07時00分 公開
[大澤裕司ITmedia]

ポテトチップスはコミュニケーションツールになる

 きっかけは16年、東日本エリア(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、長野、新潟)限定で発売した「ポテトチップス いかにんじん味」の成功にあった。いかにんじんは福島県の郷土料理で、カルビーの伊藤秀二社長兼COOの出身が福島だったことから実現。伊藤氏と福島市の間で、「地元を元気にすることができるポテトチップスができないか?」という話が出たことから発案され、開発された。

 5月に発売したところ、福島県内で予定していた1カ月の販売数量である10万袋をわずか1週間で売り切る。再発売となった6月も勢いが衰えることがなく、福島県を中心に29万袋が売れた。その後の反響も高かったことから、地域限定品としては異例の再々発売を8月に実施した。

 この商品に対し、同社には「福島から離れて暮らす親戚に送りたい」といった声が数多く寄せられたという。ポテトチップス部ベーシック課 課長の荒木友紀さんは、「ポテトチップスがコミュニケーションにつながっていることに驚きを感じました。中には、箱買いして誰かに送った人もいたほどです」と振り返る。いかにんじん味の成功は、ポテトチップスがコミュニケーションツールになり得ることを示した。

 これをきっかけに同社は16年9月、47都道府県の味のポテトチップスを開発することを決定する。荒木さんはこの話を最初に聞いたとき、スケールの大きさにびっくりしたという。とはいえ、いかにんじん味の成功から、このプロジェクトは普段ポテトチップスを買わない新たなユーザーを開拓できる可能性を秘めていると理解し、市場活性化に対する前向きなチャレンジだと捉えた。

47都道府県の味のポテトチップスを担当するカルビーの荒木友紀さん

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