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» 2018年03月09日 07時00分 公開

新幹線札幌駅、こじれた本当の理由は「副業」の売り上げ杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/4 ページ)

[杉山淳一,ITmedia]

「新案が良い」理由より「現駅案が困る」理由が大きい

 ここまでの経緯で、賢明な読者はJR北海道の主張の矛盾に気付くと思う。当初の西案、東案が不便だという指摘を受けて、JR北海道は「乗り換えに便利」な地下案を推した。地下案が否定されると、「乗り換えに不便」な大東案を提出。その理由が「プラットホームが狭い」だ。それなら、なぜ前回はプラットホームの狭い地下案を提案したか。

 上下プラットホームを分離して乗り間違いを防ぐという主張を真に受けるマスコミもどうかしている。函館方面と旭川方面を間違える客がどれほどいるか。現在の札幌駅でも、同じプラットホーム、同じ時間帯で函館方面・旭川方面・帯広方面の特急列車が発着している。あれだけたくさんプラットホームがあるのに、同じ愛称の特急列車の乗り場が時間帯によってまちまちで、固定されていない。シンプルな島式プラットホームの新幹線で乗り間違えるというなら、在来線ではもっと乗り間違いが発生しているはずだ。そっちは改善しなくていいのか。

 JR北海道の主張は「新案がつぶされたら代替案」の繰り返しで、その利点の主張に一貫性がない。だから、これはむしろ「より良い案を提案したい」ではなく、「現駅案を避ける理由を探したい」だ。その理由の1つが「在来線への影響」だったけれども、それも鉄道・運輸機構に論破されてしまった。

 では、JR北海道が現駅案を避ける真意は何か。新札幌駅問題の報道を精査していたら、JR北海道社長会見で見落としていた要素があった。

 北海道新聞2月10日朝刊記事「大東625億円、現駅570億円 札幌駅ホーム事業費 差額はJR負担方針」の末尾に「現駅案で必要な駅ビルの売り場面積削減を避けられるため、西野史尚副社長は『経営にプラスだ』と説明した」とある。また、交通新聞2月19日紙面に掲載された、2月15日のJR北海道社長の記者会見でも「現駅案だと営業スペースを縮小せざるを得ず、グループ会社からの収益も失う」とあった。

 現駅案通り、1番、2番ホームを新幹線に転用すると、JR北海道のビジネスとしてはドル箱に当たる場所が改築の対象になってしまう。さらに新幹線開業後は、出札・改札・待合室・コンコースも設置される。工事後に売り場スペースが復活するとしても、JR北海道としては10年間の売り上げ減少を無視できない。

photo 札幌駅プラットホーム下の店舗情報。現駅案と照らし合わせると、1、2番のりばの下にあたる店舗が新幹線コンコースになる
photo 札幌駅ビル「JRタワー」の関連商業施設「paseo」のフロアマップ。この図の12番から19番、32番から61番の店舗が新幹線工事期間中に影響を受けると思われる。この下のB1フロアにも同じくらいの店舗があり、基礎工事の深さによっては影響を受けるだろう

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