コラム
» 2018年04月11日 07時30分 公開

人生の選択肢を:若者の「内向き志向」は本当か? (2/2)

[平賀富一,ニッセイ基礎研究所]
ニッセイ基礎研究所
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元AKBメンバーの成功

 この点に注目して、上記の産能大の調査結果をさらに詳しく見ていくと、前述のとおり、回答者全員では6割が海外勤務を敬遠しているが、他方、留学経験者(回答者中の2割強)に絞ってみると、実に7割もの多くが、海外勤務を前向きにとらえているという興味深い事実がある。

 日本の若者の海外での活躍の興味深い事例として、元AKB48のメンバーであった仲川遥香さんが、その著書「ガパパ! 〜AKB48でパッとしなかった私が海を渡りインドネシアでもっとも有名な日本人になるまで」(ミライカナイ、16年)の中で述べていることを紹介したい。

 仲川さんは、12年、AKB48から、インドネシアの姉妹ユニットであるJKT48に志願して移籍した。彼女は、経済発展著しいアセアン(東南アジア諸国連合)における、最大の人口大国(2.5憶人)たるインドネシアへ居を移し、最初の半年でインドネシア語をマスターして活躍、大人気アーティストとなった。16年末のJKT48の卒業後も、多くのCMやテレビのトークショーのレギュラー出演など現地で活発な芸能活動を行っている。

 その結果、「インドネシアで最も有名な日本人」となり、18年「日本インドネシア国交樹立60周年親善大使」に任命されたり、英国ブランドウォッチ社による「Twitterで最も影響力がある人ランキング(女性部門)」で16年、17年と2年連続で世界7位にランクされるなど活躍している。

 その仲川さんが、自身の苦労と成功体験を踏まえて、日本の若者に対して、日本国内から海外に視野を広げてより充実した自分らしい人生を送るという観点での重要点・留意点を挙げている。

 仲川さんの例と同様に、スポーツの世界で活躍する若者の多くが、海外でのトレーニングや試合の経験、外国人コーチの指導を通じて技能を高めていることは今さら言及するまでもないことであろう。

 大きな可能性を持つ日本の若者が、少子高齢化という課題を抱える日本で働くことのみを考えるのではなく、アジアの成長市場など海外市場の動向・変化、その中に自らの個性や能力を発揮できるチャンスのある場所を見つけるという人生の選択肢に気付き、考えてほしいと思う。その契機となる留学や語学学習の意義を感じ、自分のキャリアを意欲的に考えてもらう機会を高校や中学といったより早い時期に用意することが大切と考える。

筆者プロフィール

平賀 富一(ひがら とみかず)

ニッセイ基礎研究所 客員研究員

大阪成蹊大学 マネジメント学部 国際観光ビジネス学科教授


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