アタリの店はどこ? サラリーマンが愛する「立ち食いそば」事情土曜インタビュー劇場(かき揚げ公演)(4/5 ページ)

» 2018年05月19日 09時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

店によって細かいところが違う

土肥: 都内で「立ち食いそば激戦区」はどこになるのでしょうか?

芳賀: 新橋駅の周辺ですね。

土肥: 新橋はサラリーマンの聖地でもあるので、スーツを着たオジサンがたくさんいる。「じゃあ、立ち食いそばでもやるか。かき揚げと月見を出していればなんとかなるでしょ」といった感じで、地の利を生かした商売を始めることができるかもしれない。でも、こうした考えはド素人。芳賀さんの話を聞いていると、同じ「立ち食いそば」の看板を掲げていても、それぞれの店で工夫していますよね。

芳賀: 私も取材をするまでは、同じようなことを考えていました。「サラリーマンが多いところであれば、立ち食い店はやっていけるでしょ」と。ただ、そうした考えは間違いで、長年経営を続けている店は、他店にはない唯一無二のウリがあるからなんですよね。

「いっぱい喰い亭」の人気メニュー「鶏生レモンそば」(出典:リベラルタイム出版社)

土肥: 他の外食を見ると、大手チェーンがたくさんあります。ハンバーガー、牛丼、うどんなど。でも、そばは違う。もちろん、大手チェーンの店もたくさんありますが、個人店も多い。

芳賀: 先ほど新橋にある「おくとね」という店を紹介しましたが、この店が入っているビルには立ち食いそばが2店あるんですよね。でもお客を食い合うことはない。なぜか。同じそば屋でも特色が違うので、長く経営を続けることができているのでしょう。

 あと、食材にこだわっている店も多い。「立ち食いそば」と聞くと、安い食材を使っている、産地にはこだわっていない、といったイメージがあるかもしれませんが、実は違う。「ネギは国産のモノを使っている」といった話ではなくて、「○○県産のネギを使っている。なぜなら……」といった感じで、自分のところが出しているそばとの相性を考えて、産地にこだわっている。このほかにも、だし、水、つゆなど、細かく見ていくと、店によって大きく違うんですよね。

「駅ナカすたんど そば助 東武曳舟店」の究極の塩とりそば(550円、出典:リベラルタイム出版社)

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