#SHIFT

「期待の星」の女性ITエンジニアが辞めるわけ中堅SIerの現場から(3/3 ページ)

» 2018年05月25日 09時00分 公開
前のページへ 1|2|3       

 信じ切れず、転職者向け採用セミナーに潜入したところ、男女4人の現役社員はこんな話をしていた。「現場レベルで確かに残業時間が減っている」「当然システム開発だから変動はあるが、残業時間は月平均20時間以内」「有給の取得率は80%」「10%以上あった離職率が6%まで下がった」。……多少話半分に聞くとしても、働き方のカルチャーを変えることに成功しているのは間違いなさそうだ。

働き方改革が奏功しているアクセンチュア(=Webサイトより)

 「長時間労働が当たり前のIT企業って、大手では少なくなっているんですよね」

 転職エージェントの担当者にIT業界の現状を聞いたところ、こんな言葉が返ってきた。実はIT業界は他の業界に比べて、大手の働き方改革が進んでいるという。背景には深刻な人手不足がある。労働環境を改善しないと、条件の良いところに社員が引き抜かれるという危機感があるからだ。働き方改革の成否が企業の死活に関わっている。

 ソフトウェアなどの開発を手掛けるSCSKも働き方改革に成功して、就職先としての人気を高めている企業だ。12年から働き方改革に取り組んだ結果、月平均残業時間が20時間以下、有給取得率も9割以上となった。この成果が広まることにより、就職先としての人気が上昇。「IT業界就職人気ランキング」では、13年度入社の順位は25位だったが、18年度入社の順位は5位まで上がった。働き方改革の成否は優秀な人材の獲得と直結している。

働き方改革により、残業時間と有給取得率・日数が改善されたSCSK(=SCSKWebサイトより)

 働き方の文化を変えることは可能である。そして、働き方改革の成否は会社の人材獲得に直結している。それが“常識”となりつつあるIT業界において、女性社員が次々と辞めて行くような会社に未来はない。

タケシ・ピーエル・ワン氏のプロフィール:

37歳、中堅Sierに勤務するシステムエンジニア。好きな食べ物はメロンパン。休日は家電売り場を歩き回るのが好き。


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.