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» 2018年06月15日 09時00分 公開

ロボットとAIが変える「医師の働き方」:二宮和也主演「ブラックペアン」で話題の手術支援ロボット 直腸がん手術「第一人者」に聞く (2/5)

[中西享,ITmedia]

導入に慎重な日本企業

――「ダビンチ」は現在、世界と日本でどれくらい使われているのか。新しいメーカーの参入はないのか。

 17年末の統計では全世界で4400台、日本は280台で米国に次いで第2位だ。最新の型式は第4世代で、価格は3億円もする。手術支援ロボットは米国のメーカーが独占している状況ではあるものの、日本からは川崎重工業などが参入し、2年以内に手術支援ロボットを製品化すると聞いている。

 日本ではこういうチャレンジングなデバイスの開発に対して、事故が起こったらどうしようかなどといった慎重な土壌があった。だが、これからはもっと日本企業も参加してほしい。こうして新規参入が進めば競争も促され、安くて良い製品が出ることになる。

phot 17年9月30日時点の導入状況(東京医科歯科大学資料より)

人工肛門の装着率を下げられる

――「ダビンチ」を使うことによる利点は何か。

 患者へのダメージが少なく、入院期間が1週間程度と、開腹手術の半分以下で済むのは、内視鏡を使った「腹腔鏡手術」と同じだ。ただ、ロボット手術の場合は、神経機能障害を腹腔鏡手術よりも減らすことができる。

 最も大きな利点は、「ダビンチ」で手術をすると、100%ではないものの、がんの取り残しを防いで、局所再発を防止できることだ。直腸がんは、これが最も大事な点だ。以前勤めていた静岡がんセンターにおける治療成績では、開腹や腹腔鏡手術と比べると、直腸がんの再発リスクは半分以下にまで減っている。

phot 一般的な手術と比べ、直腸がんの再発リスクは半分以下になっている(図の「静がん」は絹笠教授が以前勤めていた静岡がんセンター。東京医科歯科大学資料より)

 これまでは、肛門のすぐ上にある直腸がんの手術を受けると、約3割は術後に人工肛門を装着しなければならなかった。人工肛門を着けると、外出時に不安が残り、QOL(生活の質)に影響が出ていた。だが、われわれのような専門施設で手術をすると、人工肛門装着の比率が約1割に下げられることが、これまでの成果から分かっている。

 また「ダビンチ」は、手と足を使うことにより、4本のアームを1人で動かせるので、助手などを使わなくても自分の思いのままに操れる。だから、手術がやりやすいのだ。腹腔鏡や開腹手術の場合は、ほかの外科医や助手を使いながらチームを組んで手術をするので、助手の技量に合わせなければならない。だが、「ダビンチ」の場合は全て自分でできる。手術にかかわる人数も減らせるのだ。

phot ダビンチは4本のアームがあり、外科医1人で動かせるので手術がやりやすい(東京医科歯科大学資料より)

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