ユニクロは、ベーシックなものをお手頃な価格で提供するという基本スタンスは堅持しつつも、「安かろう悪かろう」という評判をいかに払拭するかということに腐心してきた。
そういった同社の姿勢を象徴するような広告がいくつかある。例えば、1995年に打ち出した「ユニクロの悪口言って100万円」キャンペーンがある。顧客から直接ユニクロへの苦情を受け付けたところ、「『悪口』のほとんどが品質への苦情で、『こりゃもう本当に自分たちで納得のいくものをつくらないといけないな』」(出所:週刊ダイヤモンド2017年7月8日号)と柳井社長が気付くきっかけとなった。このキャンペーンと前後して、柳井社長は製造小売業(SPA)に本格的に乗り出したと語っている。
04年には「ユニクロは、低価格をやめます」という全面広告を朝日新聞と読売新聞に出した。当時、この広告を出した背景について「ユニクロ 世界一をつかむ経営」(日本経済新聞出版社)の著者である月泉博氏は、ユニクロの商品は同一価格帯なら間違いなく世界最高品質に達しているのに、いまだに「安いから売れている」という認識が広まっていることに柳井社長が我慢しきれなかったとの見方を示している。また、同著によると04年以降、ユニクロのプライスラインは徐々に上がっており、例えば、それまで1900〜2900円がメインだった定番ジーンズは 現在、2990〜3990円が中心価格になっている(いずれも税抜価格)。
現在、低価格帯を中心に取り扱う業態はジーユー(GU)、機能性やデザイン性を重視した商品はユニクロというように徐々にすみ分けをしているように見受けられる。
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