文科省の局長逮捕は「天下りシステム」崩壊の副作用ではないかスピン経済の歩き方(1/6 ページ)

» 2018年07月10日 08時08分 公開
[窪田順生ITmedia]

 「事務次官は確実」なんて評判だった文科省の科学技術・学術政策局長が、受託収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕された。

 息子を東京医科大学へと「裏口入学」させる見返りに、同大学が私立大学支援事業の対象になるよう便宜をはかったとされ、同大側では既に不正を認め、理事長と学長が退任している。前局長の認否はまだ明らかになっていないが、『朝日新聞』の報道では、対象校となるための書類審査をパスされるよう、申請書の作成方法を指南したという話も出ている。

 なぜエリートがこんな稚拙(ちせつ)な不正を行ったのか、と耳を疑った方も多いかもしれないが、実はもっと信じられないような話がちまたにあふれ始めているのをご存じだろうか。

 一部メディアや、情報番組のコメンテーターをされているような方たちが、今回の局長逮捕を「安倍政権のせい」と分析しているのだ。彼らの主張の要点をまとめてみると、だいたい以下の3つに集約される。

  • こういう問題人物を局長にした「任命責任」があるので、安倍政権が悪い
  • 加計学園問題に火をつけた文科省への「報復」として特捜部にリークしたっぽいので、安倍政権が悪い
  • 局長は、官邸がアベ友を露骨に優遇する姿を見ているうちにモラルハザートを起こしたっぽいので、安倍政権が悪い

 立派なジャーナリストやセンセイたちのおっしゃることなので確かにそういう側面もあるのかもしれない。ただ、報道対策アドバイザーとして、不正や不祥事が多発する組織を内部から見てきた立場から言わせていただくと、今回の不正は「安部一強」うんぬんは、それほど関係があるとは思えない。

 文科省のこれまでの経緯を振り返ってみれば、ごくシンプルに、組織ガバナンスに大きな影響を与えたあの一件がからんでいるのは明白だからだ。

 それは「天下りシステム」の崩壊だ。

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