なぜカシオの「余り計算機」は、いまの時代でも売れているのかあの会社のこの商品(5/5 ページ)

» 2018年07月12日 07時38分 公開
[大澤裕司ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4|5       

電卓の可能性はまだまだある

 小売店での取り扱いが想定以上に進んだとはいえ、ユーザー調査から分かった主な購入経路は、B2B商材のカタログ通販、納品流通(街の文具店などから企業へ納品すること)、ネット通販だ。「取り扱い品目に組み入れてもらい、カタログに掲載してもらえれば、ターゲットユーザーの目にとまるのは確実」(塙氏)なことから、今後は、調剤薬局と取引がある医療品卸のようにターゲットユーザーとつながりがある専門卸でも取り扱ってもらえるよう、働きかけを続けていくという。

 一方、余り計算電卓はアジアを中心に海外でも展開しているが、海外は調剤システムが日本と根本的に違うので、メインターゲットは物流会社。海外では認知してもらうのに時間がかかっている面もあり、売れ行きは日本ほどではないが、それでも注文が継続的に入ってきているので、海外でも継続して拡大していくという。

 「お客さまの困り事を解決するためには、余り計算電卓のように特定の用途のための専門的な機能を搭載した電卓をそろえる必要性があると感じています」と話す塙氏。ニーズがあれば今後も、そのようなモデルは増やしていきたいという。ユーザーの視点に立てば、電卓の可能性はまだまだある。

著者プロフィール:

大澤裕司(おおさわ・ゆうじ)

 フリーランスライター。1969年生まれ。月刊誌の編集などを経て、2005年に独立してフリーに。工場にまつわること全般、商品開発、技術開発、IT(主に基幹系システム、製造業向けITツール)、中小企業、などをテーマに、雑誌やWebサイトなどで執筆活動を行なっている。著書に『これがドクソー企業だ』(発明推進協会)のほか、ITmedia ビジネスオンラインの人気連載をまとめた『バカ売れ法則大全』(行列研究所/SBクリエイティブ)がある。


前のページへ 1|2|3|4|5       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.