「褒め合うのはいいけど、お金をやりとりさせるのはどうなのか?」と思う人もいるかもしれない。田中社長は「現金をあげる、というのは強烈なイメージがあるようで、当初は懸念の声も頂きました」と明かす。
しかし、自社で運用している経験から、「インセンティブ設計は大事」だと主張する。当初、「発見大賞」をやっていたころは、ギフト券や掃除機などの品物を贈っていた。お金をやりとりするシステムに変えたところ、金額は決して多くないのに「社員が贈るメッセージが、より長く、熱いものになった」という。
「なぜそうなったのか、私も不思議に思ったのですが、『お金をあげる』という気持ちがあるからこそ、恥ずかしいことも言えるようになるのかもしれません。みんな、思っていることを伝えるきっかけを探しているのではないでしょうか」(田中社長)
「ありがとう。今度メシおごるよ」というコミュニケーションは、「行きたくない」と思われてしまったら通用しない。ピアボーナスは、今の時代に機能する新しいコミュニケーションの一つなのかもしれない。お金がもらえることに目が行きがちだが、成果給の金額は、自分の頑張りや他の人とのつながりの蓄積を示す意味があるようだ。
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