長くなってしまうので、ここですべてを指摘しないが、この国家プロジェクトの敗因は、先ほどの米軍レポートですべて説明できる。
分かりやすいのが、内閣府知的財産戦略推進事務局が実施して今年2月にとりまとめられた「クールジャパンの再生産のための外国人意識調査」だ。これは、「クールジャパンのエッセンス(何が、どのような外国人を、なぜ惹きつけるのか)」について、「世界101カ国から7242人以上(2017年12 時点)」の外国人にアンケートをとったものなのだが、残念ながら「作戦第一、情報軽視」という日本の弱点がモロに出てしまっている。
というのも、これらの「外国人」というのは、特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)に所属する「ジャパンアンバサダー」という「日本文化が好きで、その魅力を広めたい熱意を持ち、日本と母国の懸け橋となる交流や情報発信を行っている外国人」だからだ。
これは、戦争における情報活動で、親日外国人ばかりを集めて「日本の強み」を語ってもらうのと同じくらい、意味のない調査であることは言うまでもない。
なぜこういう現象が起きるのかというと、「クールな日本文化・日本製品を世界に売り込む」という作戦がすべてにおいて優先されているからだ。このような教条主義的組織での調査というのは、戦略立案のためではなく、戦略の正当性を主張する材料でしかない。
平成日本のエリート官僚と、70年前の日本軍のエリートが同じ負けパターンにハマっている。客観的にみれば、「神がかり的な不滅論」という同じ「傲慢さ」にとらわれているとしか思えない。
それを雄弁に語っているのが、経済産業省が昨年3月に公表した「世界が驚くニッポン!」だ。
これは『2020年の東京五輪の開催を控え、日本に対する海外の関心が高まる中、クールジャパン商材・サービスの根幹となる日本の「感性」や「価値観」を国内外に発信するためのコンセプトブック』ということだが、果たしてこれを全世界へ発信していいのかと不安になるような内容となっている。
タイトル名も近い『世界が驚いたニッポン! スゴ〜イデスネ!!視察団』(テレビ朝日)のような愛国バラエティ番組のように、胸焼けしそうな「日本スゴい!」の嵐となっているからだ。
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