最大50%還元! JR西日本「ICOCAポイント」、“大胆策”の理由杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/6 ページ)

» 2018年08月17日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

JR西日本が高還元率の乗車ポイント制度を始める理由

 ICOCAポイントの高率還元は、首都圏の鉄道利用者にとっては衝撃的だ。首都圏の大手私鉄もICカード乗車券に対するポイント還元サービスはある。ただし、そのほとんどは提携クレジットカードにひも付いている。ICカード乗車券単体のポイント還元制度としては、都営交通の「ToKoPo」、東京メトロの「メトポ」などがあるけれども、1日単位で最大2〜6ポイント程度だ。

 JR西日本が高い還元率の乗車ポイント付与を始める理由は主に2つある。1つは「割引乗車券の転売防止」だ。JR西日本はICOCAポイントを始める代わりに「昼間特割きっぷ」を廃止する。JR西日本の利用者にとっては衝撃度が大きい。

 「昼間特割きっぷ」は同一区間6枚つづりの割引きっぷだ。利用時間が限定されており、平日午前10時〜午後5時、土曜・休日、年末年始の指定日に利用できる。販売する区間は、東海道本線(JR京都線、神戸線)、福知山線(JR宝塚線)で114区間が指定されている。つまり、ICOCAポイントの「時間帯指定ポイント」とほぼ同じだ。

 大阪〜京都間の料金を比較してみよう。乗車券は560円。「昼間特割きっぷ」は6枚つづりで2100円だから、1回当たり350円。なんと210円も安い。ICOCAポイントの還元は、4回目から280ポイントだから、4〜6回で840ポイント還元だ。1回当たり420円である。560円よりは安いけれど、昼間特割きっぷの利用者から見れば割高である。

 ただし、回数券と同様に、昼間特割きっぷは6回という縛りがあり、区間は限定されている。ICOCAの時間帯指定ポイントの場合は、京都〜大阪間と同じグループの「京都〜吹田」「向日町〜大阪」など全7区間もカウント対象になる。6回縛りの昼間特割きっぷを使うほど利用頻度が高くない人でも、4回目からポイント還元される時間帯指定ポイントのほうが使いやすいかもしれない。

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