ところが、昼間特割きっぷの廃止が、利用頻度の低い乗客からも値上げと解釈されかねない事情がある。実は、JR西日本の高割引率の昼間特割きっぷは、金券ショップにおけるバラ売りが横行している。バラ売り専門の自動券売機もあって、駅のそばでジュースの販売機と並んでいる場合もある。だから実質的に6回縛りはないのも同然だ。
昼間特割きっぷの廃止で衝撃を受ける人は、バラ売りの利用者と、バラ売りする金券業者だ。バラ売りは金券ショップ業者が1枚当たり数十円の利益を乗せている。350円のきっぷなら400円前後。それでも正規運賃より100円以上安い。金券ショップにとっては10%の利益。単価は安いけれども、商品券よりも高い利益率。薄利多売の見本みたいな商品である。
JR西日本にとって、この状況はよろしくない。そもそも昼間特割きっぷが設定された区間の中には、電車特定区間もある。国鉄時代、競合する私鉄に対抗して、普通乗車券の運賃を下げた区間だ。JR西日本もこの運賃を継承している。そこに割引きっぷを追加設定するために、ボリュームディスカウント方式にした。1人、あるいは1グループで6回乗ってもらうという前提で売っている。
単発で利用する乗客から560円もらえる状況にもかかわらず、350円しかもらえない。しかも、本来受け取るべき売り上げの一部は金券業者に吸い取られている。この状況は解決すべき問題だった。その解決策がICOCAポイントの時間帯指定ポイントだ。首都圏の鉄道のポイント還元よりも、ずっと深刻な理由がJR西日本にはあった。
【更新:2018年8月17日17時30分 画像を差し替えました】
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