作業服のワークマンが、新たな市場をつくりそうな理由水曜インタビュー劇場(新業態公演)(2/6 ページ)

» 2018年08月29日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

自社ブランドをつくるきっかけ

イージスオーシャン防水防寒スーツ(6800円)

土肥: ワークマンの自社ブランドがヒットしていますよね。2016年9月に、アウトドアウェア、スポーツウェア、レインスーツを扱うブランドを展開したところ、売り上げは2倍ペースで伸びているそうで。ワークマンといえば建設現場で働く人が利用しているイメージが強いのですが、なぜ一般の人でも着られそうなブランドをつくったのでしょうか?

土屋: 5年ほど前まで、当社が扱う商品の色は、白、グレー、紺、黒くらいしかありませんでした。なぜこのような色しかなかったのかというと、多くの建設現場で派手な色を着ることができなかったから。服務規程で決まっていたんですよね。ただ人手不足などの影響もあって、業界全体でスタイリッシュなウェアを着る人が増えてきました。若い人を採用するために、企業は「黄色の服でも大丈夫ですよ」「青色のパンツでも問題ないですよ」といったアピールをしなければいけなくなった、という事情があります。

 こうした背景があって、建設現場などの作業員向けに明るい色のイージスを販売したところ、すぐに売れました。前例がなかったので、社内では「おかしいなあ」「どうなっているんだろう」といった声があったのですが、売れている理由はよく分かりませんでした。その後も売り切れ店が続出したので、担当者が調査したところ、一般のバイクユーザーが防寒着として買っていることが分かってきました。

 イージスは過酷な環境下で働く作業員向けにつくったモノなので、防寒性や防水性が優れている。また汗を逃がす機能も備えていて、軽くて動きやすい。SNSを見ていると、バイクユーザーからは「冬場のツーリングに使える」「通勤にも着用している」といったコメントがたくさんありました。

イージス透湿防水防寒スーツ(6800円)

土肥: どのくらい売れたのでしょうか?

土屋: 発売してから1カ月で、5万着が完売しました。ただ、バイク用にはつくっていなかったので、ユーザーからは「この部分をこのようにしてほしい」といった声がたくさんありました。例えば、股下立体裁断によって雨の侵入を防いだり、手首から風の侵入を防ぐ機能を搭載したり。

 バイク用に改良したところ、釣り人も購入していることが分かってきました。「じゃあ、釣り人用にもつくろう」ということで、袖の部分が伸びるようにストレッチ性の素材を使ったり、水抜き用の穴を搭載したりして、「イージスオーシャン」という商品を販売しました。5万着を生産したところ、これもあっという間に完売しました。

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