2点目はセルフサービス化のことであり、いわゆる自分で検索し、自ら問題解決する層がどんどん増加している現象である。『おもてなし幻想』の著者らが実施した調査によれば、「75%の人が、セルフサービス型が楽で便利」と回答し、「67%の人が、電話で企業担当者と話すより自分で解決したい」と回答している。消費者の検索リテラシーが上がっていくことで、カスタマーサポートからのサービス回避傾向が高まっているのである。
3点目の独自ネットワーク構築は、FacebookやLINEなどのSNSやコミュニケーションツールの活用である。セルフサービスで解決できない問題も身近なコミュニティがオンラインですぐに解決してくれる。関係性の浅い企業のサービス担当者とよく知る友人のどちらの言葉を信用するかは明白である。
そのような顧客変化を鑑みると、サービスが合理化、単純化に進んでいくのは自然の摂理のように思える。サービス担当とのやり取りで余計な手間を増やすくらいなら、他のサービスを利用するか、自分で解決するか、自分のネットワークに助けを求めればいいのである。情報化社会におけるサービスとは「顧客努力の軽減」をゴールとすべきである。
これはB2Bのセールスにおいても、同様のことが言える。B2Bの取引において、顧客ロイヤルティーに最も影響を及ぼすのは、顧客の「販売経験」である。
このデータにもあるように、B2B取引における顧客ロイヤルティーへの貢献度は、「販売経験」が53%と、「企業ブランド」や「製品とサービスの提供」よりもはるかに大きい。中でも、購入のしやすい業者であるかどうかが重要である。つまり最大の顧客ロイヤルティーを得ている企業とは、「取引しやすい相手」なのだ。裏を返せば、必要以上に購入を複雑にしている企業は、新しいアイデア(新しい解決策)を迅速かつ効果的に顧客に伝えている企業に追いつくのに必死でがんばらなければならない。
要するに顧客努力は、単な顧客サービスの戦略というよりむしろ包括的なビジネスコンセプトと言える。使いやすい製品を製造し、顧客が簡単に購入できるようにサポートし、努力がそれほどいらないサービスを提供できる企業は、顧客ロイヤルティーという大きなリターンが得られるだろう。
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