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これからの“おもてなし”は、何をしなくていいのか差別化は「引き算」の時代へ(2/4 ページ)

» 2018年09月27日 07時33分 公開
[権田和士ITmedia]

差別化は「引き算」の時代へ

 確かにGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)と呼ばれるグローバル4強はいずれもサービスを簡素化、合理化をすることで、顧客努力の軽減を実現している。いずれの商品・サービスにも説明書は存在しなくてもすぐに商品に馴染むことができ、いつの間にか自在に操ることができるようになっている。顧客満足度は足し算の時代から引き算の時代へとシフトしているのだ。

 サービスのデジタル化とも言うべきこの事象により、サービスはシンプルで合理的な方向性へと変貌を遂げており、あえて減らすことが他社との差を分けるものとなった。産業構造が第三次産業(サービス業)から四次産業(情報産業)に移行していく中で、あらためて情報化社会におけるサービスのあり方を捉え直す必要があるということなのだろう。

 情報化社会にともない、顧客は3つの変化を経験してきた。1点目は情報量の洪水に巻き込まれるようになったこと、2点目は自分で何でも調べられるようになったこと、3点目は独自ネットワークを構築するようになったことである。

 まず情報量については一般的に知られているように、インターネットによって情報流通量が一気に膨れあがり、人間の消費可能情報量を大きく上回るようになった。情報の洪水に溺れている消費者たちはそもそも自社のサービスにたどり着くことはほとんどない。例えばアップルストアのアプリ数は200万強あるものの、調査会社のニールセンによるとユーザーが月に1回以上利用するアプリは平均30個しかない。

 またWebサイトには2秒ルールというのがあり、サイトの読み込み速度が3秒以上掛かると40%のユーザーがサイトから離脱する。つまり顧客による商品・サービスの選定はますます厳しくなっており、99.998%のアプリはそもそも選ばれず、サービス提供まで3秒も待ってくれないのである。

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