例えば、冷蔵庫にある食材で作れる料理を提案する「たべガチャ」というiOSアプリを発表した吉田拓隼さん(10歳、小5)は、いつも料理の献立に悩んでいる母親を助けたいという思いで開発したという。
自由制作部門で1位を獲得した菅野晄さん(11歳、小6)は、祖母が得意な刺繍をヒントに、誰もが簡単に自分の好きな模様や絵などの図案を作成できるアプリ「写刺繍」を作った。ユニークなのは、刺繍糸メーカーの商品データベースと連携させて、図案のどの部分にどんな種類の糸を使えばいいのかが一目で分かるようにしたことだ。祖母が図案作りに苦労していたので、その課題を解決したいというのが開発の動機になった。
そのほかにも、大嶺結葉さん(12歳、小6)は自分と同じベジタリアン(菜食主義)の人たち、特に2020年の東京オリンピックにやって来る大勢の訪日外国人がレストランなどで困らないようにするために、メニューの具材などを確認できる3カ国語対応のサポートアプリ「Veg-菜」を開発したり、柴田謙さん(11歳、小6)は英語が分からなくても日本語だけで書けるプログラミング言語「うんちく」を開発したりした。
ファイナリストの多くは、恐らくプログラミングを勉強し始めた当初は自分自身が好きなゲームやアプリを作っていただろうが、次第に身近な人たちの悩みや課題を解決することに目を向けるようになったのは興味深い。こうした視点があれば、プログラミング技術の向上とともに、より大きな社会課題の解決をきっと目指すようになるはずだ。そう期待したい。
そしてまた、彼らに共通するのはプログラミングが大好きだということ。同イベントの冒頭でサイバーエージェントの藤田晋社長が「エンジニアは仕事が終わって家に帰っても、趣味でソースコードを書くほどプログラミングが好きだ」と述べていたが、まさに「好きこそ物の上手なれ」で、ぐんぐん成長している。
このような若きプログラマーが数多く誕生し、世界に飛び出して活躍すれば、“テクノロジー後進国”と揶揄(やゆ)される日本の将来も、そう悲観することはないだろう。
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