はじめまして。サイボウズ チームワーク総研のなかむらアサミです。サイボウズで人事や広報・ブランディングを経験し、現在はサイボウズのノウハウを主に研修事業を通して提供しているチームワーク総研で、講師やアドバイザーを担当しています。
この連載では、サイボウズ チームワーク総研と、コンサルティング会社のスコラ・コンサルトとの共著で、「生産性と幸せ」をテーマに皆さんと一緒に考えていきたいです。
なぜここで“幸せ”が出てくるのか、不思議に思われた方もいらっしゃるでしょう。生産性という言葉とは真逆にありそうな言葉です。しかし、私たちはこの2つには関係性があると考えています。
そもそも生産性とは何なのか、私たちの日々の仕事とどう絡めればいいのかといったことを考えつつ、私たち一人一人の幸せと生産性の関係についても触れながら、「なるほど、そういうことか」「これまでとは違う視点でも考えてみたいな」と思うきっかけになれば幸いです。
ここ数年、働き方改革が声高に叫ばれています。それに連動して「生産性を高めよ」という言葉をさらに聞くようになりました。最近、LGBT(性的少数者)に生産性はないと発言して批判を受けた議員もいましたが、とにかく「生産性」は今ホットな話題のようです。
ただし、生産性を高めるのはそう簡単なことではありません。現実を見てみると、“画一的”な働き方改革により、残業時間や会社にいる時間が制限される一方で、これまでと同じか、それ以上の成果を求められる組織が増えていると聞きます。これはなかなか大変です。数カ月前、あるいは数年前までは何もそこまで言われなかったのに……。結局、自宅などに仕事を持ち帰って、夜な夜な働いているビジネスパーソンであふれている気がします。
生産性について、日本生産性本部が毎年行っている「労働生産性の国際比較」という調査があります。
労働生産性とは、労働者1人当たり、あるいは労働1時間当たりでどれだけ成果を生み出したかを示すものです。この調査結果を見ると、1970年から2016年まで、日本人の生産性の順位はほぼ変わっていません。調査国の中で最低の生産性を見事に維持しています。
この表を見てどう思われますか? 私は初めて見たときショックを受けました。「こんなに何も変わってないのか!」と。
この約50年の間に、私たちの生活は大きく変わっています。機械化、IT化が進み、以前より効率的に便利に仕事や生活ができるよう技術は進歩しています。それなのに、こうした結果になっているのは、進歩した技術を私たちが使いこなせていないということでしょうか?
逆に言えば、この50年の状況を今さら「働き方改革」をしたからといって、急激に転換できる気もあまりしません。
働き方改革にかかわらず、何をしても日本人の生産性の数値が一気に上がるのはちょっと難しいのではと思ってしまいます。いかがでしょうか?
データでは、世界の中でも日本は生産性が低い≒時間当たりや1人当たりの稼ぎが低い国だということが分かりました。でも、「だから何なの?」「私たちはダメな国なの?」「不幸なの?」というと、そうではないと考えています。数値が低いからダメというのは、固定概念かもしれません。そもそもこうした指標を掲げることに意味はあるのでしょうか?
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