阪神・金本監督を辞任に追い込み、チームも崩壊させた背景赤坂8丁目発 スポーツ246(3/5 ページ)

» 2018年10月12日 10時48分 公開
[臼北信行ITmedia]

強い結びつきがあり過ぎた“負の金本ライン”

 そんな状況下だから、シーズン中も金本監督は「裸の王様」だった。現役引退後は解説者としてネット裏から野球を見つめ直し、監督に就任したとはいえコーチ業に就いたことはなく未経験のまま指導者となっていた。

 そういう立ち位置にいたのだから本来ならば経験豊富で有能なコーチ陣を招へいすべきだったにもかかわらず、「仲良し内閣」と呼ばれるような自分と昵懇(じっこん)の人材で脇を固め、足りない要職はフロントの人脈に頼った。

 今季は一軍ヘッド兼務となっていた片岡篤史打撃コーチや香田勲男投手コーチは、強い結びつきがあり過ぎた“負の金本ライン”の最たる例と言っていいかもしれない。ベンチ内で監督に次ぐ重要なポジションにいなければいけないはずの片岡コーチの無策な打撃指導法と首を傾げたくなるような助言、そして香田投手コーチの不可解な投手起用にもメディアやタイガースOBから疑問の声が噴出し、ファンは間違いなく怒っていた。

 これまで金本監督に関しては「自分の息がかかっていない首脳陣と意思疎通がうまくいかないところもあるようだ」という指摘も周辺から多数耳にした。それを象徴するかのような話もある。

 その金本監督と同じタイミングで二軍監督に就任したミスタータイガースの掛布雅之氏は多くの若手を下で鍛え上げ、間違いなく功績を残していたものの球団側は「役割を十分に果たした」として2年契約最終年となった昨年秋、契約を更新しなかった。

 一説には「金本監督と確執があったから掛布さんは、その空気を察したフロントによって現場の要職から外され、SEA(オーナー付シニアエグゼクティブアドバイザー)という事実上の“閑職”に追いやられた」ともささやかれている。

 こういう、いびつな人事異動が成されていた背景もあり、フロントが推して就任したコーチたちは金本監督にモノを言いにくくなっていたフシもあったようだ。監督と仲のいいコーチだけが井戸端会議のように集まり、それ以外の首脳陣とは自然と距離感ができる。これでは連携など取れるはずもない。

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