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» 2018年10月19日 07時12分 公開

1250円の「カレー専用スプーン」は、どうやって開発したのかあの会社のこの商品(4/4 ページ)

[大澤裕司,ITmedia]
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予想に反し売れ品切れを起こす

 現在は一部の小売店でも取り扱われているが、「カレー賢人」は最初、同社のオンラインショップでのみ販売した。その理由は、コストをかけてつくったからであった。

 100円ショップで売っているような安いスプーンは6〜8工程程度でつくっているのに対し、「カレー賢人」は30工程近くかけて製造している。「コストをかけてつくったからといって、お客さまの手に届きにくい価格にはできません。税抜1250円でも『高い』と言われますが、このあたりの価格で売るために、問屋を介さず自分たちで売ることにしました」と山崎氏は明かす。

 発売するとさまざまなメディアが注目。SNSを中心に話題が拡散していったこと、「それほど売れるとは思わなかったので、生産量も控え目にした」(中村氏)ことから、品切れを起こすことになった。

 販売に当たり同社が重視したのは口コミだった。その理由を中村氏は「カレーマニアはうんちくを語りたがるところがあるため」と言う。ヒアリングに協力してくれたカレー店の店主やカレーマニアをはじめ、全国のカレー好きの目に留まり、「カレー賢人」の口コミが拡散していった。

 話題になったことで、法人のギフト需要を開拓することにも成功する。洋食器をプレゼントする場合、ナイフ、フォーク、スプーンなどセットにしたものを渡すのが一般的だが、「カレー賢人」だと1本単位で渡すことが可能。1本だけ入れられる専用ケースをつくり、ギフト需要に対応している。

ギフト用の専用ケース。1本だけ入れられるようにしたほか、スプーンの形状に窪ませてデザイン性を高めた

 ユーザーからは「使い勝手がいい」「取りやすい」「口抜けがいい」と評されることが多く、マイスプーンとして常に持ち歩いている人もいるほど。また、「キャリ」ではライス、ルウ、具材の黄金比が実現することから、子どもから「スプーンの中にミニカレーができた」という声が寄せられたこともあった。

 注文数では個人からのものが多い「カレー賢人」だが、今後はカレー専門店など業務用途も積極的に開拓したい考え。さらなる人気は、業務用途での拡販がカギを握っている。

「カレー賢人」の開発・営業に携わっている山崎金属工業の山崎修司氏(左)と中村雅行氏(右)

著者プロフィール:

大澤裕司(おおさわ・ゆうじ)

 フリーランスライター。1969年生まれ。月刊誌の編集などを経て、2005年に独立してフリーに。工場にまつわること全般、商品開発、技術開発、IT(主に基幹系システム、製造業向けITツール)、中小企業、などをテーマに、雑誌やWebサイトなどで執筆活動を行なっている。著書に『これがドクソー企業だ』(発明推進協会)のほか、ITmedia ビジネスオンラインの人気連載をまとめた『バカ売れ法則大全』(行列研究所/SBクリエイティブ)がある。


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