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» 2018年10月19日 07時12分 公開

1250円の「カレー専用スプーン」は、どうやって開発したのかあの会社のこの商品(3/4 ページ)

[大澤裕司,ITmedia]

ベテラン職人でも戸惑う「サクー」の製造

 集まった悩みや不満の声を基に、「カレー賢人」の具体的な形状や大きさが検討されることになった。6種類ほど試作をつくり、カレー店の店主やカレーマニアが検証。その結果、現在の「キャリ」と「サクー」に決まった。

 従来同様の形状で大きくした「キャリ」は、一見すると目立った特長がないように見えるが、一般的なスプーンと違い、皿の手前側に一番深いところがある。一般的なスプーンは、一番深いところがハンドルの付け根に近い後方にあるが、これだとカレーライスをすくってから口の中に運ぶ時に手首を返さなければならなくなる上に、口から抜いた時に米粒が残ってしまうことがある。

 しかし、前方に一番深いところを持ってくると、手首の角度を変えることなく口の中に運べ、口抜けもよくなることで米粒が残ることがなくなる。深さについては、カレーが最もおいしく食べられるとされるライス、ルウ、具材の黄金比を実現するものだという。

「キャリ」を横から見たところ。一番深いところが後方のハンドルの付け根近くではなく、前寄りにあるのが分かる

 一方、右肩上がりの形状をした左右非対称の「サクー」は、「キャリ」に切り分け機能を付加したもの。先端がへら状になっており、具材にすっと入り込み切りやすくなっている。また、一番深いところが中心よりやや左側にあり、置くと右から左に向かって下がっていることが分かる。ヒアリング結果に同社が持っている食べやすくするノウハウをプラスした結果、このような形になった。

「サクー」を置いてみると、中心よりやや左に一番深いところがあり、左下がりになっていることが分かる

 つくるのが難しそうな形だが、取締役工場長の山崎修司氏は、「磨きにくいところなどはあるが、技術的には決して難しくない」と話す。だが、これまでつくったことのない形状のため、今までの常識が当てはまらず、何を基準にしていいのかが分からないままつくらざるを得なかった。「何をもって美しい形ができたと判断すればいいのか、分からないままつくらなければならなかった」(山崎氏)ため、ベテランの職人ですら戸惑うほどだった。

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