数の帳尻合わせが、日本のお家芸になってしまう根本的な原因スピン経済の歩き方(1/6 ページ)

» 2018年10月23日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

 ニュースを耳にしても、「ああ、また例のやつね」とあまり驚かなかった方も多いのではないだろうか。

 油圧機器メーカー大手のKYBとその子会社が、油圧を利用して地震の揺れを吸収するオイルダンパーと呼ばれる装置で、検査データの改ざんを行っていた問題のことである(関連記事)。

 国土交通省の基準や、顧客の性能基準から外れた製品に対して基準内に収まるよう数値を動かしていたという。改ざんは、2003年から完成品検査の現場で続けられていて、これまで世に出た不正ダンパーはざっと987件に及ぶ。

 と書いてみたものの、まったく斬新な感じがせず、むしろデジャブしかないのは、この手の改ざんが、日本のモノづくりでは、もはや特に驚くような話ではなく“あるある”となってしまっているからだ。

 例えばこの1年を振り返ってみても、神戸製鋼、三菱マテリアル、東レ、シチズン時計、宇部興産、日本ガイシ、日立化成、日産自動車、スバル、スズキ、マツダ、ヤマハ、クボタとそうそうたる名門企業がやり玉に上げられている。

そうそうたる名門企業がやり玉に上げられている(写真提供:ゲッティイメージズ)

 筆者は2017年11月、『中国メディアが指摘する「日本は改ざん文化」は本当か』という記事で、改ざんは日本型組織にとって「平常運転」だと指摘したところ、愛国心溢れる方たちからボコボコに叩かれた。だが、あれから1年が経過して、「お家芸」と呼んでも差し支えない状況にまでなってしまっているのだ。

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