経営陣と松本氏は「健全な対立関係」にある――RIZAP両トップ、赤字転落の裏側語る 【一問一答を詳報】(2/3 ページ)

» 2018年11月15日 00時00分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

経営陣と松本氏は「健全な対立関係」にある

――松本代表はRIZAPに参加した際の会見で、『おもちゃ箱のような会社だ』とおっしゃっていたが、実際に就任されてどんな印象を持ったか。また、これまでのM&Aの方針や会計手法に、どんな問題があったと感じたか。

松本氏: この会社に入ったのは、瀬戸健にほれたから。こういう人に将来の日本を背負ってほしいと思い、会社の中身をあまりよく分からずに、彼に引かれて入った。当時は「おもちゃ箱の中身はよく分からないが、いろいろなモノが入っていて面白そうだ」と感じていた。

 入った後は、傘下の企業を一つ一つ回り、問題があることに気付いた。「面白そうなおもちゃだけど、壊れているんじゃないか。修繕が必要だ」と。つまり、たくさん買った会社の中には、右肩下がりの“不況産業”といえるものがあった。

 また、瀬戸さんがRIZAPを作った際のビジョンにそぐわない企業が傘下にあることにも気づいた。本来はヘルス・ビューティー・自己実現・自己投資を(主力事業として)イメージしていたはずだが、買ってしまった会社の中には違うものがある。経営状態のよしあしにかかわらず、「ここを入れるのはおかしいのでは」と思われる企業があった。

photo 報道陣の質問に答える松本晃氏

 同時に、第一四半期が終わっても、第二四半期が終わっても、数字(業績)があまり良くなかった。そこで私は「ある程度正さないといけない」と判断した。

 8月の後半からは、瀬戸さんとずいぶん話をした。一部で報道されたが、私と瀬戸さんの中で対立はない。一方、経営者との間では対立は存在している。ただし、これは健全な対立。会社に対立は必要であり、対立のない会社はかえってよくない。

 私は「最近買った会社の中に“しんどい会社”があるのではないか。各社の資産をしっかり調べて成長戦略を作った方がいい。新規・継続中の(M&A)プロジェクトも一部を除いてフリーズすべきだ。エクスペンス(支出)のコントロールもしっかりした方がいい」と説き、最終的には瀬戸さんと(意見が)100%一致した。

 構造改革には痛みが伴うため、覚悟を決めるかどうかでも議論したが、もう一度大きな成長を遂げるために、いったん止まることにした。

合意していない点もいくつかある

――松本代表と瀬戸社長が合意していない点はあるのか。

松本氏: いくつかある。私はコーポレートガバナンスを強化するために、もっと社外取締役を迎えた方がいいと考えている。組織の作り方も完全に合意していない。1人の長が3〜5社の子会社をみるのはおかしい。よい働きをした人はちゃんと報われねばならないが、(報酬制度の)インセンティブ面もまだ不十分だ。

 いまは瀬戸さんに、私が思い付いた(アイデアの)メモを渡して、それをベースにディスカッションしている。瀬戸さんは「99%同意します」と言っている。実はそれ以外に何の溝もない。あとはアクションするだけだ。

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