前出の事情通はこのようにも言う。
「『エキシビション』という前提条件でメイウェザー側はRIZINに自らを売り込んで参戦を打診した。昨年11月に行われたUFCのコナー・マクレガーとの一戦はMMA選手とのエキシビションではなく、ボクシング公式戦。マクレガーがボクシングライセンスを取得したからだ。この一戦を経て異種格闘技の選手を“食い物”にしようという意識がメイウェザーの中に芽生えた。
日本のRIZINがUFCの波に押され、人気を獲得できていない現状をブレーンから聞き『誰かオレと戦いたいヤツはいるか』と直接持ちかけたらしい。それでRIZIN側は小柄だが、最も人気の高い那須川を対戦相手としてリストアップ。大晦日のRIZIN放映で苦戦続きのフジテレビとしても、このメイウェザー参戦を“最後の切り札”としてバックアップしているそうだ」
逆に那須川がミラクルを起こすなら「ちゃぶ台返し」しかないような気もする。エキシビションでお遊び気分のメイウェザーに怒とうのラッシュを浴びせ、本気にさせることだ。不謹慎な言い方だがルールで認められなければ、反則負け覚悟でバックブローを打ち込むぐらいのことをやらないと勝ち目はないだろう。
アントニオ猪木がモハメド・アリと異種格闘技戦を行ったときのように、エキシビションと思い込んでいた相手に真剣勝負を仕掛け、結果として緊迫感あふれる展開にする流れを期待したい。メイウェザーを負傷させるなどエキシビションらしからぬアクシデントを万が一招けば、それこそ相手に訴訟を起こされる危険性もあるだけに、那須川の「ちゃぶ台返し」には、RIZIN側も今の時点で戦々恐々となっているかもしれない。
とにかく両者の対決が「世紀の茶番」として終わってしまうことだけは、避けてほしいと切に願う。本業のキックでは33連勝中の実力がダテではないことを「マネー」相手にみせてもらいたい。
那須川は周囲に「(メイウェザーをリングに)上げられれば、こっちの勝ち」と不敵に言い放っているという。「メイウェザーと戦った男」として世界に羽ばたけるか。すべては「ちゃぶ台返し」にかかっている。
国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。
野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2017年第4回まで全大会)やサッカーW杯(1998年フランス、2002年日韓共催、2006年ドイツ、2010年南アフリカ、2016年ブラジル)、五輪(2004年アテネ、2008年北京、2017年リオ、2018年平昌)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。
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