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育児でブランク14年 障がい者のシングルマザーが楽天子会社の副社長になるまでパーフェクトウーマン 女性が拓く新時代(4/5 ページ)

» 2018年11月27日 08時00分 公開
[大宮冬洋ITmedia]

なぜ出世できたのか

――声をかけてもらうのは現場の人からするとうれしいでしょうね。川島さんはなぜ自分が副社長にまで出世できたと思いますか?

 正直、「学歴もない私がなぜ?」と思います。私は現場の仕事が今でも好きです。例え難しい仕事でもやる前からできないとは思わないようにしています。当社の事業として、水耕栽培、本社内のコンビニやクリーニングを運営しています。この事業を始めるとき、周囲の人は障がい者がコンビニ経営や水耕栽培なんてやったことがないから難しいのでは? との声がありました。だから私は、その全ての現場で一度は働かせてもらうのです。レタスの栽培も、コンビニのレジ打ちも実際にやりました。どのようにしたら、障がい者の方が活躍できるのかを考えるのです。

 管理職として上がっていったのは、常に改善意識を持っていたからだと思います。仕事でやりづらいことがあると黙っていられない性格なので、「これは間違っている」「もっとこうすればうまくいく」と思ったことは、周りの人が言いづらそうにしていても、私は言います。いわゆる姉御肌なのだと思います。この性格が、会社を引っ張って行くには向いていると社長は思ったのかもしれませんね。

――最近の企業社会では、管理職を目指したくない人が増えているようです。川島さんは管理職の面白さはどんなところにあると思いますか。

 管理職には日々の変化と刺激があります。業績が上がるも下がるも自分たちのやり方次第です。お客さんをはじめとする人との出会いも頻繁にあります。「もうちょっと料金を上げてもらえないでしょうか」などというお客さんとの交渉も、私は積極的にします。

 上司に言われたことをハイハイと聞いて動くだけの仕事はつまらないと思います。忙しいと不満を言っているような人には、「だったら自分が指揮をとり、業務改善をしなさいよ」と言いたい。意見を言うためには昇進する必要もあります。

 日々のちょっとしたアイデアを事業に生かせないかと検討できることも管理職の楽しさです。まずは部長たちにその楽しさを伝えていければいいと思っています。

 そういえば母親は、私の本を全て読み終えたあとに、「本当に良く頑張ったね。これからも人さまのために頑張って欲しい」と話していました。やっと理解してもらえてとてもうれしかったです。

phot 2015年からクリーニング事業も始めた(左は筆者)

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