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» 2018年11月28日 08時30分 公開

日立流「外国人人材の活用術」:日立に迫られる“日本的雇用”からの脱却 「グローバル人事戦略」仕掛ける中畑専務を直撃 (2/6)

[中西享,ITmedia]

「グローバル化」と「ソリューション提供型」への対応が鍵

 こうした背景からプロダクト・アウトからマーケット・インの販売手法に転換を進めてきた。しかし100年の間に染みついてしまった考え方を変えるのは容易ではない。昔は、東京電力さんやNTTさんなどの顧客から提示された課題に、技術で応えて製品を提供すればよかった。しかし、今は社会や顧客の抱える課題も複雑化している。単にプロダクトを提供するだけでなく、一緒に課題を探し解決策を提供するという観点に、転換しなくてはならない。

 このような「社会イノベーション事業」「グローバル」という2つの大きな日立の経営方針を支えるために、いかなる人財や人事制度が必要になるかを考え、グローバルでの人事マネジメント施策を推進してきた。

 大きく2つの戦略があり、1つ目は、国境を超えたビジネスをするので、グローバルマーケットを知る人財が必要になる。日立はグループ全体の30万人のうち約16万人は日本人だが、残りの14万人は外国人で、売上高も約9兆3000億円の半分が海外になっているためだ。2つ目は、ソリューション提供型のビジネスを進めていくために、従業員のマインドを変えることに加え、人財の育成や獲得に注力することだ。このため、異なる国籍や文化を持ち、性別や年齢も多様な人財が能力を発揮できる制度づくりを日立グループで、グローバルに進めた。

phot 売上高の半分が海外になっている

35万人の情報をデータベース化 評価制度も統一

――具体的に、どのようにグループ全体で人事制度を共通化したのか。

 11年度までは、950社ある日立グループの会社には950通りの人事制度があり、バラバラに運用されていたのが実態だった。そこで、当時の中西社長が各社のトップを呼んで人事制度をグローバルで共通にするよう求めたという経緯がある。

 共通化施策として取り組んだことは、まず12年度に、グループ全社員(当時35万人)の社員情報をデータベース化した。次に、13年度には管理職5万ポジションを、国や地域を問わず統一の基準(A〜Fまでのグローバル・グレード)によって格付けし、評価制度を統一したのだ。

 例えば、中国にある50人規模のグループ会社社長と、日本で200人の部下を抱える部長では、責務の大きさから、後者が高いグレードとなる。社長だからといってグレードが上というわけではない。責務に応じた統一の基準でグレードを設けることで、人財の配置転換がしやすくなるのだ。

 さらに14年度には、目標管理・評価の仕組みを統一し、組織と個人の目標が連動するようなコーチングとマインドセットの変革を実現させるための「グローバル・パフォーマンス・マネジメント制度」を導入した。これらの人財マネジメント施策を効果的に機能させ、運用していくための最終的な施策として、18年から日立製作所や海外拠点の5万人を対象に、人財統合プラットフォームを稼働させた。これは、「workday(ワークデー)」と呼ばれるクラウドシステムだ。社員の基本情報、グレード、スキルやキャリア計画など、全ての人事情報を一括で管理できるシステムで、グループ従業員25万人を対象に順次拡大させていく。

――このシステムの利点は何か。

 利点の1つとして、人財の配置転換がしやすくなる。全ての社員のスキルや経歴、今後どんな仕事を希望しているのかなどのキャリア・プランを誰でも検索することができ、「こういう人財が欲しい」というときに、即座に適した候補者をグループ全体からピックアップすることができる。もちろん、それらの情報は、従業員各自が入力し、同意の上で閲覧可能にしているものだ。人事評価などは、人事担当者や上長しか閲覧できないようになっている。

phot 12年度にはグループ35万人の社員情報をデータベース化した。事業部や子会社による「個別最適」の人事を変え、人材管理を統一する

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