マネーフォワードの子会社、マネーフォワードフィナンシャルは2019年春の仮想通貨交換サービスの提供を目指す。12月3日のメディア説明会で、神田潤一社長が話した。
「8月に金融庁から出た質問表に返答して、やり取りをしている。本申請をしてから2カ月で登録といわれているが、まだ本申請には至っていない。3月末までには登録を取ってサービスインしたい」(以下、発言は神田氏)
当初はビットコイン、イーサリアム、ビットコインキャッシュの3種類の仮想通貨を取り扱う予定。サービスインの段階では、証拠金取引は考えていない。「(決済など)金融のツールとして使ってもらえることを目指している。2倍、4倍の仮想通貨が取引できることを前面に押し出していくのは違うと思っている」
18年は、1月に仮想通貨取引所のコインチェックから大量のNEMが流出した事件以来、業界にとって停滞の1年だった。新規参入を目指す事業者は160社とも言われるが、金融庁の引き締めもあって登録は進んでいない。
「進んでいた事業者も、コインチェック事件から足止めをくらっている。(新規参入の)160社のうち半分以上が諦めているのではないか、という状況」
当初金融庁内では、比較的軽い登録要件で幅広い事業者に登録を認めていこうという考えがあった。ところがコインチェック事件のあと、審査の見直しがあったという。やりとりのボリュームは3倍近く、内容についても負担が増加した。「事業者の負担が、7〜10倍になったイメージ。15人程度で登録できていた去年と違い、40〜50人の体制を組まないと登録までいけないといわれている。担当も、金融機関の出身者がいないといけないという暗黙のチェックポイントが出てきている」
一方で、海外でも制度や規制の導入が進み始めている。現在は、日本国内は厳しく、海外のほうが自由だが、主要国に日本同様の規制が導入されていくと、海外の取引所も対応を迫られることになる。「いち早く厳しい規制に対応した日本の事業者は、海外に出ていくチャンス。競争的な強みが出てくるのが来年、再来年。海外に打って出るチャンスが出てくる」
マネーフォワードフィナンシャルでも、将来的に海外取引所を設立し、国際間での決済サービスを提供していく考えだ。「ひとつの方向性としては、クロスボーダーの決済だ。手数料が大幅に下げられる可能性がある。海外にも取引所を立ち上げて、国際的な送金ができる体制を整えるというのがひとつの方向性。仮想通貨さえ持っていれば海外でも生活できるようにしていきたい」
「今後半年ほどで、仮想通貨価格が反転して注目が高まるフェーズになる。関わっている人たちと話していると、悲観している人はほとんどいない。一時的に一般的な人が離れている状況にあるが、このあと技術的な革新が広がったり、ユースケースが広まったりして、確実に注目される」
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