広島でヒーローだった丸は、巨人でも活躍できるのか赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)

» 2018年12月07日 07時35分 公開
[臼北信行ITmedia]

 球界の勢力図が一変するかもしれない。広島東洋カープの丸佳浩外野手がFAで巨人へ移籍した。2年連続MVPに輝いたスター選手の退団は、常勝軍団カープにとって間違いなく痛恨だ。鯉党から落胆の声が響き渡っているのは言うまでもない。対照的に移籍先のG党は、多くが狂喜乱舞していることだろう。

 獲得を熱望していた巨人・原辰徳監督も、丸の移籍決断を耳にした直後はメディアの前に姿を見せ、目尻が下がりっ放しだった。これだけ当人の去就決定によって両チームを巡る明暗がくっきりとあらわになり、大きな波紋を呼ぶFA移籍選手も近年では珍しい。つまり、それだけ丸がインパクトのある選手ということだ。

 何はともあれ、丸の決断には敬意を表さなければいけないと考えている。報道によれば、巨人の提示条件は5年総額35億円。年俸で換算すれば広島、そして他に獲得へ名乗りを挙げていた千葉ロッテマーリンズと比較しても群を抜いていた。

 かつて東北楽天ゴールデンイーグルスからニューヨーク・ヤンキースへ超破格の条件で移籍した田中将大投手にイチローが「このオファーを受けたことへの覚悟と自信に、敬意が払われるべきだろう」と激励を込めて口にしたことがあった。田中ほどのスケールではないにしても、これになぞらえれば、丸が3球団の中で最も高額な条件を提示した巨人を選んだことは、それなりの「覚悟と自信」があってのものだと思う。

 愛着のあるはずの広島、そして出身地の千葉をホームグラウンドとするロッテのオファーを蹴り、ジャイアンツ入りを決断すれば「カネの亡者」と猛烈なバッシングを浴びることは、必然の流れだったと言い切っていい。事実、今の世の中はそのような風潮になっているが、それは丸本人もきっと覚悟の上だったはずである。

 もしかすると「少年時代から大の巨人ファンで今も密かに憧れを抱いている」というウワサもあることから、実際のところ、本音として条件面は二の次で純粋にYGユニホームへ袖を通したかったのかもしれない。しかし、それが仮に本当だったとしても、大半の鯉党は「それならば大好きな球団へ行ってくださいね」と簡単に許してしまうほど優しくはない。

 百歩譲って、移籍先がパ・リーグのロッテならば、ここまで大きな騒ぎにはなっていないだろう。全国にアンチファンがワンサカといる巨人とあっては古巣の地元・広島市民が「丸よ、一体どういうつもりなんだ」と声をそろえたくなる気持ちも分かる。

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