「昨晩はしっかり寝たはずなのに、なぜか疲れがとれない」「なぜか仕事中、常に眠い」――。こんな悩みを抱えているビジネスパーソンは少なからずいるのではないだろうか。どうすれば、すっきりと目覚め、仕事で高いパフォーマンスを発揮できるのか。
法人向けに睡眠のコンサルティングなどを手掛ける作業療法士の菅原洋平氏によると、眠りの質が下がり、翌日に疲れが残りやすくなる人は、ベッドの上で本を読んだり、スマートフォンを操作したりなど、「眠る」という本来の目的とは異なる行動を取っているケースが多いという。
「脳には、場所と行為をセットで記憶し、特定の場所で以前行っていた作業をスムーズに行えるように準備する『フィードフォワード』という働きがあります。ベッドでスマホを操作すると、脳はベッドを『画面を見る場所』『文字を読む場所』として認識し、それらの準備をしてしまいます」と菅原氏は指摘する。
眠りの質を高めてすっきりと目覚めるには、まずはこの習慣をやめ、「ベッドを眠るための場所として、脳に再学習させる必要があります」(菅原氏、以下同)という。
また、眠っても疲れが取れない人は、1週間を通じて確実に眠っている時間(コアタイム)が短く、体内のリズムにズレが生じているケースもあるという。
例えば、平日は午前0時に寝て午前6時に起きているのに、休日は夜更かしして午前3時に寝て午前10時に起きている――といった場合、1週間を通じて「確実に眠っている時間」は午前3時〜6時の3時間しかない。
菅原氏は「コアタイムが短いと睡眠と覚醒の差が低くなり、『いつでも眠れるが、寝たとしても眠りが浅い』状態になります。コアタイムが長いほど、生体リズムはズレにくくなります」と指摘する。
また、ついわれわれは、生活リズムを整える上では「早寝早起き」が大切だと感じ、就寝時間を早くしようと努力してしまう。だが菅原氏によると、眠くないのに就寝を試みるのは逆効果。本当に大切なのは、何時に就寝した場合でも「起床時間をそろえること」だとしている。
「脳は、目覚めて網膜に光が届いた後、16時間後に眠くなる仕組みです。起床時間がそろっていないと、眠くなる時間はそろいません。週末に寝だめをして起床時間が遅れた場合、いつも通りの時間に寝ようとしても寝つけないのはそのためです。規則正しい生活を送る上では、平日も休日も同じ時間に起床することが重要になってきます」
菅原氏によると、起床時間をそろえた上で、就寝時に起きる時間を3回唱えて覚醒に向けた意識を高める「自己覚醒法」を取り入れたり、起床後すぐに窓から1メートル以内に近づいて日光を浴びたりすることで、すっきりとした目覚めが実現できるという。
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