10年以上も英語に触れ続けているのに、なかなか英語を使ったコミュニケーションが取れない。ある程度の単語は分かるのに、どうしても自信が持てない。こんな経験を、ビジネスパーソンならしたことがあるのではないだろうか。
英語を話そうとしても単語は出てこないし、相手の話も聞き取れない……。なぜ日本人は英語に苦手意識を持ちやすいのだろうか。多くのビジネスパーソンが通うグロービス経営大学院の英語MBAプログラムにて英語でのビジネス・コミュニケーションなどを教える米国人ブライアン・カスカートさんに、苦手意識を乗り越えるための具体的な対処法を聞いた(日本語で)。この記事を読んだ後なら、自信を持って一歩を踏み出せるはずだ。
――日本人はかなりの年月を英語の勉強に費やしているはずですが、ほとんどの人が苦手意識を持っています。例えば中学校から英語を勉強し始めると、大学卒業まで継続したとすると10年間学習していることになります。ですが、実際には英語を話せない人が多いですよね。なぜこういうことが起きるのでしょうか?
米国人である私から見ると、多くの日本の方々は、ほとんど完璧に文法を習得しているというのが実感です。おっしゃる通り、中学から高校までなら6年間、大学まで含めると10年間も受験を経験しながら英語を勉強しているのですから、相当なレベルに達しています。冗談ではなく、中には私よりも文法が得意な方もいると思います。
英語を読めるし、英文も書ける……。ですがただ一つ、「英語でのコミュニケーション」だけは日本人の方々が勉強する機会が欠けていると感じています。言語の大きな目的の一つは、コミュニケーションです。せっかく学んだ新しい言語を、他者と会話し世界を広げるために使わないのは、あまりにもったいないと言わざるを得ません。そして、コミュニケーションは相手によって、そして時代によって少しずつ変わっていくものなので、「完璧な話し方」というのはありません。今、私も完璧ではないですが、日本語を話していますよね?
――はい。聞いていてびっくりするほど分かりやすい日本語で話されています……。
ありがとうございます。私もやはり最初は基礎的な文法や語彙の学習から始めましたが、結局一番日本語が上達したのは、とにかくたくさんの会話を積み重ねた期間でした。
一つだけはっきりしていることは、「英語はすぐに完璧に話せるようにはならない」ということです。ですが多くの日本の方々は「勉強してから話す」という完璧主義なのです。私の仮説ですが、このマインドセット(考え方)は学校教育の中で勉強してきた経験からきているのだと感じています。文法のルールには「正解・不正解」というAnswer(答え)がありますよね。
確かに文法のルールが分かったら、英語のルールは分かるようになるかもしれませんし、英語も上手になるという傾向はあるかもしれません。優秀な大学にも入れるかもしれませんね。でもそれは、英語でコミュニケーションができるようになったということとイコールではないのです。
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