2018年に発生したマッサージ事業者(マッサージ院、鍼灸院、接骨院、整骨院、整体院など)の倒産は93件で、過去10年で最多を記録した――。東京商工リサーチの調査でこんな事実が明らかになった。要因は、他院との競争激化などに伴う「業績不振」が73件で最多だった。
業績不振のほか、「事業の失敗」「連鎖倒産」(ともに6件)、「赤字の累積」(4件)に起因する倒産も起きていた。エリア別では、近畿(42件)、関東(22件)、中部(17件)、九州(6件)、中国(4件)、北海道、東北(ともに1件)の順に倒産が多かった。
倒産した治療院の負債総額は約20億2700万円で、前年から2倍超に拡大。負債総額も過去10年で最多だった。東京商工リサーチの調査担当者は、倒産が急増している要因を「多くの治療院が乱立し、事業者間の競争が激化しているため」と分析する。
厚生労働省の統計によると、16年現在でマッサージ院、鍼灸院、整骨院、整体院などは全国に計13万6460カ所存在。全国に広がるコンビニエンスストアの店舗数(18年11月現在で5万5695店舗、日本フランチャイズチェーン協会調べ)の約2倍に上る。
調査担当者は「かつては、柔道整復師などの国家資格を取得した人は、既存の治療院で5〜10年ほど経験を積んだ後に独立・開業する流れが一般的だった。だが近年は、政府や地方自治体が創業者を支援する融資制度などを整えているため、卒業後すぐに開業する人が増えている」と治療院が多くなった背景を解説する。
「(他業種と比べて)設備を比較的簡単に導入できるため、初期投資がしやすいことも開業する人が増えている一因だろう」(調査担当者、以下同)という。
また、「以前は人材の供給量を調整するため、国が柔道整復師養成校などの設立数を制限していたが、1998年に規制が緩和され、規則を満たしていれば学校を設立できるようになった。これを機に多くの学校が乱立し、多くの人材が輩出されるようになり、開業する人も増えた」と指摘する。
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