「スターバックスコーヒー(スタバ)でアルバイトした経験があると、就職活動を有利に進められる」「エントリーシート(ES)や履歴書を手書きすると、誠意が伝わって書類選考を通過しやすくなる」――。大学生の就職活動を巡って、こんなうわさがささやかれるようになって久しい。
真偽のほどは不明だが、「選考・説明会の規定に『服装不問』と書いている企業を受ける場合でも、スーツ姿で参加しないとマイナス印象」「体育会出身の学生は就活に有利」といった説も飛び交っている。
実際にネット上には、「スタバ、ユニクロ、ディズニーランド(オリエンタルランド)」でアルバイトすると就活に有利」などと書かれた就活指南サイトが存在。SNSには「『服装不問』の説明会に本当に私服で参加したら、自分以外の学生はみんなスーツを着ていたので浮いてしまった」など不安がる声なども投稿されている。
こうした“就活都市伝説”は本当なのか。リクルートマネジメントソリューションズで執行役員を務める、山崎淳氏に真偽のほどを聞いた。山崎氏はリクルートキャリアで企業の新卒採用支援や人事制度設計を手掛けたのち、新卒採用サービス「リクナビ」の編集局長などを歴任して現職に至る“採用の専門家”だ。
――出どころは定かではありませんが、いつしか「スタバでバイトすると就職活動に有利」といった情報が学生の間で出回るようになりました。新卒採用の現場では、本当にこうしたバイトの経験者が優遇されているのですか?
山崎氏: 合否に直結することはありませんが、好印象を持たれる場合はあるでしょう。スタバやユニクロなどの企業では、アルバイトであっても、顧客目線に立った接客を行うよう指導されます。顧客のニーズを現場で判断し、時としてマニュアルにないサービスを提供することも求められます。
そのため、接客担当者や営業職を募集している企業では、スタバなどのバイトを経験していると「相手に配慮したコミュニケーションができるのでは」「すでに鍛えられた人材なのでは」などと期待してもらえるのです。
ただ、単純に経験があるだけではダメです。学生は面接での受け応えを通じて「本当に顧客目線の接客ができるのか」をアピールしなければなりません。うまく伝えられないと「あれ、全然ダメじゃん」とガッカリされ、不採用となることも十分にあり得ます。
まとめると、スタバなどのバイト経験が多少の好印象につながる可能性があることは確かですが、必ずしも合格するわけではありません。
――サークルではなく、体育会出身の学生は就活に有利だといううわさもよく耳にしますが、真偽のほどはいかがでしょうか。
山崎氏: 体育会出身の学生は、目上の人の指示に素直に従う能力や、物事に粘り強く取り組む能力が高いというイメージはあります。ただ中には、厳しい部活を経験したはずなのに、ビジネスにおけるストレス耐性がない人材や、言われたことしかできない人材がいることも事実です。
そのため、企業側も「経歴のみに判断を左右されたくない」と考え、クリエイティブな能力の有無を問う選考を体育会出身の学生に課しはじめています。学生は、単に「競技を4年間頑張った」とアピールするだけでは不十分。高評価を得るためには、「どんな所を工夫したのか」「どんな場面でリーダーシップを発揮したのか」などと、具体的なエピソードを話す必要があります。
バイトの話にも共通して当てはまることですが、「○○をやっていたから優秀」などと学生を表面的な“ラベル”で判断すると、人材選びに失敗することを企業も分かってきているのです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング