――中高年男性が家庭の問題と同時に直面していると思われるのが、管理職の問題です。本書でも、できる部下に仕事を集めてしまう「集中」、部下に帰社させにくいプレッシャーを与えてしまう「感染」などの要因としてマネジャーが挙げられています。一方で上司層の月平均残業時間は約30時間と、非管理職に比べて7時間も長くなっています。管理職は残業の加害者である一方、人手不足のため仕事を自分でも被らざるを得ない被害者でもあるのですね。
中原: 今、日本で管理職が一番しんどいと思います。賛否両論のある話ですが、私は日本の会社が管理職をもっと大事にして魅力的にしないと(組織が)持たないと思っています。待遇も海外から比べると給与の上がり方などが低い。その割には問題の対処を任されているのは現場の管理職になっています。勘のいい人は「あほらしい」と管理職から降りていくと思いますね。もっと待遇を上げる必要がある。
――残業を生み出す管理職をはじめ、従来の日本的な働き方のシステムが機能しなくなってきていると。
中原: 外部環境が今までと違ってきているのが大きいです。経営と言う観点からすると、もはや時間当たりいくら頑張って働いても利益は出ません。アイデアが重要です。今までは物は作れば売れるという時代もありましたが、これからは何を作りどう売るかを考えなくてはいけない。
つまり、思考の質が重要になります。それは時間に比例しない。残業しても思考の質は高まらないのです。そういった思考が求められる経営環境になれば、働き方も変えなくてはいけない。いわば、労働慣行のアンインストールと言ってもいい問題なのです。
――ありがとうございました。次回(関連記事を参照)は「従来の働き方改革でなぜなかなか残業が減らないのか」に迫りたいと思います。
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