松本さんや相葉さんは、根ほり葉ほり質問攻めに合う大野さんや、ネガ質問を切り返す櫻井さんや二宮さんが孤立しないよう、フォローする重要な役割を担っていたのだ。
もちろん、謝罪会見などでは、冗談で場を和ませるようなことはできないが、実は彼らのようなフォロー役こそが「炎上」を防ぐキーマンになるのだ。
例えば、不祥事を起こした企業の謝罪会見では、責任問題を追及される社長や、事実関係をひたすら説明する役員だけしかいなくて、顧客や取引先、あるいは社会に対する怒りや不安に寄り添うことを言える人がいないことが多い。
そのため「誠意が感じられない」とか「本当に悪いと思っているのか」などと叩かれてしまうのだ。質問に答えたり、事実を説明したりする人たちだけではなく、松本さんや相葉さんのように「感情」のケアができる人がそろっていてはじめて、リスキーな会見は「炎上」を避けることができるのだ。
嵐の会見が「100点」という理由が分かっていただけたと思う。
彼らはアイドルという特殊な仕事ではあるが、自分たちの考えを丁寧に伝えていくスタンス、「嫌な質問」をうまく切り返すテクニックなど、我々一般人も学ぶべきところが多くある。
記者会見やプレゼンなど、人前で質疑応答をする立場の方たちはぜひとも彼らを参考にしていただきたい。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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