――いまお話いただいた方のように、「ベンチャーに入社したい」と考える人は、上位校にはあまりいないのでしょうか。
飯田代表: ベンチャーに興味を持つ上位校の学生は8%程度というデータは出ていますが、その中にはディー・エヌ・エー(DeNA)やヤフーなどの“メガベンチャー”が含まれるため、「本当のスタートアップに行きたい」と考える人は2〜3%程度に減ります。
具体的には、就労支援サービスなどを運営するLITALICO、Web広告やHR Tech(テクノロジーを活用した人事領域のサービス)を手掛けるFringe81、アドテクノロジーを開発・展開するフリークアウトなどを志望する人が多い印象です。
この3社の共通点は、ブランドイメージの向上に注力しているほか、インターンシップにしっかりと投資して、学生一人一人が納得できる場を作っていることです。
――ベンチャーに進んだ上位校の学生は成果を出せているのですか。
飯田代表: はい、基本的に活躍していますよ。ベンチャーに進む上位校学生は当事者意識が高く、一度取り組んだことを「飽きた」「失敗したからもうイヤだ」などと投げ出さない強さを持っています。また、「将来は起業したい」と考えている人もベンチャーを目指す傾向にあります。
ベンチャーは社内競争がそこまで激しくないほか、上層部と現場の距離も近く、おかしいと思うことに対してすぐ声を上げられる環境です。一方、例えば大手金融に行った場合、同期が300人以上いて、出世争いも激しく、どの支店に配属されるかで今後のキャリアがある程度分かってしまうのが実際のところです。ベンチャーはそういったことはなく、比較的裁量権を持って働けるので、「この仕事をやりたい!」という強い思いを持つ人に適しているのでしょう。
――最後に“これからの就活”で求められる学生の人物像を教えてください。
飯田代表: 「物事の中から問題を把握し、それを解決する力」「社内外を巻き込みながら仕事を進めるリーダーシップ」「与えられた仕事を最後までやり切る当事者意識」――の3つを併せ持つ学生ですね。
これらの力は、社会に出なくても身に付けられます。例えば、大学のサークルに新入生を勧誘する際に、毎年同じ内容のビラをただ配るのではなく、発信するメッセージや告知するチャネルを考え直したり、仲間を動かして新入生の体験会を企画したり、一度入った新入生がどうすれば辞めないか“リテンション対策”を考え抜いたりするだけでも、ビジネスで必要なスキルは鍛えられます。
現代の就活は、上位校ではない大学の学生にとって有利ではないことは確かですが、将来どんな人材になりたいかを先に考え、そこから何をやるべきかを逆算し、それらを達成しながら成長することで、学歴の違いはちょっとした“誤差”になってくると考えています。
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