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「高学歴新卒」は本当に優秀? 活躍しているの?  識者が語る“リアル”リーディングマーク飯田代表に聞く(2/3 ページ)

» 2019年02月01日 05時00分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

上位校の学生が志望する企業はどこ?

――そんな上位校の学生は、どのような企業を志望するのでしょうか。

飯田代表: 若干ピークアウト気味ですが、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事といった総合商社が最も人気なのが近年のトレンドです。このほか、東京海上日動火災保険、サントリー、三井不動産、三菱UFJ銀行、三井不動産、三菱地所なども人気です。

 また、いまの上位校の就活生は、就職先を選ぶ際に「評判・企業イメージ」「仕事内容」「人と文化」「待遇」――の4要素を重視している印象です。昔は「とにかくチャレンジできる環境に行きたい」「所得が高い企業に入りたい」という就活生が多かったですが、時代とともに変わってきました。

 著名な企業でパワハラ、セクハラ、過労死などが相次ぎ、社会問題化したこともあり、「身を削ってまでチャレンジするのではなく、働きやすい環境で社会的に意義のある仕事がしたい」という価値観が広がっているようです。

photo 2019年卒の上位校学生に人気だった企業(=リーディングマーク調べ)

就職後に活躍しているのか?

――やはり大企業が多いようですが、上位校の学生は本当に優秀なのでしょうか。また、就職後に活躍できているのでしょうか。

飯田代表: 一概にはいえませんが、上位校の学生は、多感な時期にいろんな誘惑に耐え、難しい入学試験を突破しているため、努力できる人材であることは確かです。社会人になった後のパフォーマンスを追っても、状況を把握したり、文書の内容を理解したり、問題を解決したりする能力が高い傾向がみられます。

 ただ、野球がうまい人が水泳も得意だとは限らないのと同じで、高校時代にペーパーテストの成績が良かったことと、仕事で成果を出し続けられることはイコールではありません。

 中には「東大や早慶に入れたから楽勝だ」などと、仕事や人生を甘く見た結果、就職後につまずいている人も確かにいます。こうした人たちは、“過去のテスト結果”に安住するのではなく、「昨日の自分を殺して、新しい自分に生まれ変わる」覚悟で仕事に臨むべきです。

特に優秀だったのは中堅私立大学の出身者

 一方、入試で上位校に入れなくても、それをバネにして成長し、社会で活躍している人はたくさんいます。実は、私がこれまで多くの学生に接する中で特に優秀だと感じた人が1人いるのですが、彼はユーザーの大半を占めている上位校ではなく、とある中堅私立大学の出身者です。

 彼はコミュニケーション能力が極めて高く、人の懐に飛び込むことが上手です。「もっと成長したい」「もっと吸収したい」という素直で前向きなマインドや、人に教えを乞い、それを踏まえて成長することを泥臭くやり続けられる力もあります。

 こうした仕事術や心構えは、学生時代に経験した靴磨きのアルバイトで、多様なお客さんと接する中で学んだそうです。そんな彼は今、スタートアップで若くして執行役員として活躍しています。「みんな靴磨きをやるべきだ」と言うつもりはありませんが、「憶することなく質問し、そこから学ぶ」という一見すると当たり前のことを地道に続けることで、成功できるケースもあるのです。

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