――マネジャーが「翻訳力」を磨くことは組織にとってはいいことだと思います。個人のキャリアにとってのポジティブなインパクトは何でしょうか?
マネジャーになると、プレーヤーとしての即戦力的なスキルの向上よりも、組織マネジメント、つまり、メンバー個々人の能力の最大化、それによって組織のパフォーマンスの最大化を意識することが仕事になりますよね。
でもそれをすると、メンバーとの対話や面談に時間を割かれたり、本当は自分もプレーヤーとしてやってみたかったことをメンバーに任せたりと、マネジャー個人のプレーヤーとしてのスキルアップができ難くなります。
今僕は37歳で、歳を重ねるにつれ考え方は変わるかもしれませんが、正直現段階では、プレーヤーとしてのスキルアップとマネジャーとしての成長はトレードオフなんじゃないかと思っています。逆に言うと、それくらい他人に尽くす気概がないと、信頼を勝ち得るマネジャーになんてなれないんじゃないかと思っています。
マネジャーは、目に見えるスキルアップではなく、目に見えないような仕事をしていて、そんな「分かりづらい成長感」と戦わなければいけません。ただそういう中で、メンバーと分かり合えた、いい関係が築けたというマネジャーとしての成長、一人間としての成長を目に見えない形で実感できる瞬間があります。マネジャーという存在は、その時はじめて報われるんです。
でも、それは簡単なことではありません。一度、自己成長を捨てるくらい振り切って向き合う必要があります。目に見える分かりやすいスキルを身に付けたいなら、業務時間外で取り組むという手もありますからね。
(取材・文:中森りほ、岡徳之<Livit>/撮影:中森りほ)
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