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ZOZO 前澤社長の理想を現場に伝えるマネジャーの「翻訳力」とは?人自本部・西巻本部長が明かす(4/5 ページ)

» 2019年02月08日 06時30分 公開
[中森りほITmedia]

 僕は前澤の意見や考えに100%賛成できることは少ないんですよ。「前澤とみんなの間にいる僕は、今こんな気持ちで働いているんだよ」と、トップの意見に自分の考えや感情を入れて伝えます。その方が、リアルだし部下に本質が伝わることもあります。「僕は社長の考えの7割は理解できるけど、3割は正直理解できない」とハッキリ言ってしまってもいいんです。

 結果的に、僕が伝えた内容が、前澤の伝えたいことそのものじゃなくてもいいと思うんです。そのほうがトップのスタンスだけでなく、部下にとって自分のすぐ上に立つ上司のスタンスも伝わります。やっぱりマネジャーと部下といっても、結局は人と人とのコミュニケーションなので、自分の思いを乗せた素直な言葉を届けたほうが相手にも伝わると思うんですよね。

 また、前澤の回りにいる人みんながイエスマンになってしまえば、前澤が裸の王様になる危険性もあります。だからトップの意見に100%賛成するよりは、あんまり染まりすぎないほうがいいのかなあとも思っているんです。そういう人がいないと、組織としてバランスも保てません。前澤も100%の賛同を求めているわけではないですからね。

 それと、トップの思いを部下に翻訳して伝える時に、それぞれの人に合った話・伝え方をすることですね。僕の組織の個人面談とか、カメラを回してもらえば分かると思いますが、僕は人によって話す内容が全然違うんですよ。

 例えば、職場で元気がない人には、「最近、仕事中ニコニコしてないよね。天真爛漫な良い性格なのに、それをもっと生かすにはどんな仕事がしたいと思ってるの?」と聞いてみたり、逆に順調そうに働いている人には、「本当はもっとレベルが高い提案ができるはずなのに、何故自分から提案してこないの?」」など、厳しいことを言ったりするときもあります。

 一般的に、働くのが楽しくなくなる瞬間って、その原因は人間関係がほとんどだと思うんですよ。だから、そういう関係にならないように、「お互い尊重し合おう」「成果を奪い合うとかやめよう」「楽しく働こう」ということは、誰に対しても常に付け加えて伝えています。それ以外はもう、メンバーとコミュニケーションを取って、どこまでも相手を理解すること、に尽きます。

 そのようにメンバーと対話した後は、その変化を見届けます。数日後、数週間後、1年後でもいいので、メンバーが笑顔で働いていたら、「楽しく働く」というこちらの思い、トップの思いが伝わったんだなと感じます。そこまで見届けるのが、マネジャーの仕事じゃないかなと思います。

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