お店のミライ

なぜファミマの社会貢献は「24時間テレビ」のように見えるのかスピン経済の歩き方(1/6 ページ)

» 2019年02月19日 08時10分 公開
[窪田順生ITmedia]

 ちょっと前、ファミリーマートの47都道府県店舗で、小学生以下の子どもに100円で弁当やスイーツなどを提供するイベント「ファミマこども食堂」をめぐって、激しいディスり合いが行われた。

 発端は、本家の「子ども食堂」の運営に関わるような方たちが、ファミリーマートの取り組みは「売名」であって、そんなことをやるくらいなら、従業員の賃金をあげて、貧困家庭を少しでも減らすべき的な提言をされたことだった。

 これに対して、「企業のやることは全て悪いことだと決めつけるな」「大資本が入れば、活動も注目されるんだから喜ぶべきだろ」「サヨクのナワバリ意識が強すぎる」など反論が全方向から寄せられたのである。

 中には、慈善活動に長年取り組んできた杉良太郎さんが売名批判を受けて、「皆さんもどんどん売名してください」と粋なコメントで返したエピソードなどを引用して、「売名だろうがなんだろうが、貧しい子どもが1人でも救われるならいいことではないか」と主張されている方もいらっしゃった。

「ファミマこども食堂」をめぐって、激しいディスり合いが行われた(写真提供:ゲッティイメージズ)

 この「やらない善よりやる偽善」について、個人的にはまったく異論がない。リスクをとって誰かのためにとアクションを起こした人を叩くような世の中は健全ではない。企業の皆さんは売名だろうが、なんだろうが、じゃんじゃんと人助けにカネを注ぎ込んでいただきたい。

 ただ、その一方で今回の「ファミマこども食堂」が一部の方に批判されるのはしょうがないとも思う。右だ左だというイデオロギー的見地から述べているわけではない。どうひいき目に見ても、「叩かれる要素」がバッチリそろいすぎているからだ。

 筆者は報道対策アドバイザーという仕事柄、これまで「社会貢献活動がネット上で『売名だ』と叩かれています!」とか「当社のCSR活動に対して、質問状が届きました!」なんて相談をよく受けて、その対応を手伝ってきた。

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