そういうことを繰り返しているうちにふと、似たような社会貢献をしているのに叩かれる企業もあれば、スルーされる企業があることに気付いた。活動も規模もそんなに変わらないのに、一方は売名だとされ、一方は違和感なく世間に受け入れられているのだ
それは企業イメージがとか、やれブランディングだとか、顧客エンゲージメントだとか、カッコいい横文字が飛び出してきそうだが、実際に売名だと叩かれる企業をまじかに見てきた立場から言わせていただくと、そういう小難しい話ではなく、問題は極めてシンプルだ。
社会貢献が叩かれる企業、叩かれない企業の本質的なところを突きつめていくと、以下のような2つに分類されるからだ。
叩かれる企業:社会問題を用いて、自社の経営課題を解決している
叩かれない企業:自社のサービスで、社会問題を解決している
企業も慈善団体ではないので、自社にメリットがない社会貢献など意味がないという意見はよく理解できるのが、そのような「下心」があまりにも露骨に見えてしまうと、一部のステークホルダーから反感を買う確率が高くなってしまうのである。
なんのこっちゃという方も多いと思うので、今回批判の声があがったファミリーマートを例にご説明していこう。そのためには、まずは「ファミマこども食堂」という「社会貢献」について正しい認識を持っていただく必要がある。
実は外野は「子どもの貧困対策」をめぐってやいのやいのと盛り上がっているが、当事者であるファミリーマートは、そんなワードは一言も口にしていない。ニュースリリースでも、「地域交流および未来を担うこどもたちを応援する取り組みの一環」「地域のこどもたちや近隣の皆さまが、共に食卓を囲みコミュニケーションできる機会を提供」と説明しており、貧困の「ひ」の字も登場しない。
その辺りはメディアにもしっかりクギを刺していたようで、例えば『日経MJ』(2月4日)の記事も、最後に『「ファミマこども食堂」では、貧困世帯への扶助よりも地域に住む子どもらとの交流を主な目的としている」と注意書きのように締められている。
つまり、「地域の子どもを応援」というライトな社会貢献が、「こども食堂」というパワーワードに引きずられる形で、「子どもの貧困対策」というヘビーなテーマに向けた取り組みだとミスリードされてしまったのである。
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