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どのようにすれば“いい人”を採用できるのか ポイントは4つ急募をなくす(1/7 ページ)

» 2019年02月21日 07時55分 公開
[倉貫義人ITmedia]

編集部からのお知らせ:

本記事は、書籍『管理ゼロで成果はあがる』(倉貫義人/技術評論社)の中から一部抜粋し、転載したものです。


 管理のない自己組織化されたチームの話をすると「信頼関係が重要ですね」と言われますが、ごもっとも。そもそも信頼関係のない人と一緒に働きたいとは思いません。しかし、多くの会社では、入社時点では信頼関係のない状態からのスタートになることは避けられません。

 一般的な採用プロセスでは、数回面接をして決めると思いますが、それでは信頼関係を築くまでには至りません。また、中途採用の場合は即戦力を求めているはずなのに、その人がどれくらい仕事ができるのか、本当のところは分からないまま採用することも多いです。

 一緒に働けるかどうかは、一緒に働いてみないと分からないのが本当のところです。しかし、一緒に働くためには採用を決めなければいけません。ここに従来の採用が抱えるジレンマがあります。

信頼関係を作ってから入社する採用プロセス

筆者の最新刊『管理ゼロで成果はあがる』(倉貫義人/技術評論社)

 「もし、入社する前に一緒に働けるかどうかが分かって、信頼関係を築いておけたら、採用の問題が解決するのではないか」

 私たちの会社では、そう発想を変えて信頼関係を築いてから入社してもらうようにしています。入社前の採用プロセスのうちに、互いに信頼を築けるようにしているのです。そのため、中途採用で応募されてから入社するまでに1年から1年半ほどの時間がかかります。

 もちろん「無職になって」というわけではなく、現職を続けたままでの付き合いです。もし価値観や企業文化が合わずに入社しないということになっても、お互いに大きなリスクを負わなくてもいいようにするためです。

 「応募者がそれほど長く付き合ってくれるのか」と心配になりますよね。確かに、急いで転職したいと思っている人とはうまくいきません。しかし、私たちの会社では採用した人とは長く一緒に付き合っていきたいと思っていますし、そういった仲間を探しています。この先も長く付き合っていくことを考えたら、1年ちょっとの信頼関係を築くための期間はそれほど長いものではないのではないかと考えています。お互いに知り合って安心して入社するためには必要な期間です。

 採用は「会社が社員を選ぶ」ものだと考えてしまいがちですが、スキルを持っている人材が重宝される今の時代では、むしろ「社員も会社を選ぶ」のです。お互いに相思相愛になって、しばらく付き合ってみて、良いところも悪いところも認めたうえで一緒になるのが理想です。まるで結婚みたいなものですが、そう考えると数回の面談で決めるほうが不安です。

 応募者にしてみても、その会社で本当にいいのかどうか、もっと深く付き合って、会社の中の人とも話をたくさんしないと判断することは難しいでしょう。会社と応募者がフェアに判断しあうためにも、時間は必要なのです。

 仕事をしていく信頼関係を築くためには、一緒に仕事をするのが一番です。私たちの会社では、入社する前から一緒に仕事をしてもらうことにもトライしています。副業が許可されている会社に所属している方やフリーランスの方には、きちんと報酬をお支払いして、短時間でも仕事を手伝ってもらいます。

 手伝ってもらう仕事は、お客さまから請けた仕事ではなく、私たちの会社の社内システムの開発です。それならばお客様へ迷惑をかけることもないし、下請け的に働いてもらうこともありません。あくまで、私たち自身が使うもので、いずれ入社したら自分が使うものを作るのを手伝ってもらうのです。

 副業として働いてもらっているうちに、相性のいい人は自然と長く続きますし、信頼関係も深まっていきます。報酬を支払う仕事なので、いい具合に甘えはなく、緊張感もあります。そうして、いつのまにか一緒に働いているのと変わらないような関係が作れたら、フルタイムの社員として迎え入れるのです。

 その副業で働いてもらう期間を、トライアル期間や、「お友達期間」と呼んでいます。

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