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» 2019年02月22日 07時30分 公開

河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」:「しつけで体罰」禁止? 褒める子育て? “美徳”に潜む現実 (2/5)

[河合薫,ITmedia]

スウェーデンで“体罰容認”が減った理由

 私たちが子どもの頃は、親に殴られたり、ベランダに立たされたり、お尻をぺんぺんされたりすることは珍しくありませんでした。女の子だったので、手を上げられたことも、暴言を吐かれた記憶もないのですが、兄は悪いことをすると、父にお尻をたたかれたり、「校庭を10周してこい!」と近くの小学校で走らされたり。まぁ、兄は1周走ったら、なぜかくっついていった私と鉄棒で遊んだりして時間をつぶしていましたけど(苦笑)、あれも今振り返れば、立派な体罰です。というか、それ以前に、お尻ペンペンや校庭のランニングがしつけになったか甚だ疑問です。

 ですから、法制化されることで「親の怒りを暴露するためのしつけ」を容認する空気が薄まることを期待しているのです。

photo 法制化で「親の怒りを暴露するためのしつけ」を容認する空気が薄まるか

 実際、世界に先駆けて今から40年前の1979年に「しつけでの体罰禁止」を法制化したスウェーデンでは、子どもをたたいたり、暴言を吐いたりする親はほとんどいないようです。70年代は子どもの約半数が日常的にたたかれていましたが、80年代には約3分の1に減少。2000年の調査では、体罰を行うことを支持する親は、1965年の53%から99年には10%になり、顕著に減少していることが分かっているのです。

 ただし、スウェーデンでは「法制化」だけに頼るのではなく、政府が大規模な啓発キャンペーンを実施しました。

  「Can You Bring Up Children Successfully without Smacking and Spanking?(あなたは子どもをたたかずに育てられますか?)」というタイトルの子育て支援冊子を、子どもがいる全ての家庭に配り、牛乳パックにもメッセージを印刷するなど、徹底的な人権教育を行ったのです。

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