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» 2019年03月06日 08時00分 公開

エリートほど陥りやすい?:中高年社員を確実に待ち受ける“絶望への落とし穴”とは 調査で解明 (4/4)

[服部良祐,ITmedia]
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中高年にこそ効く「自分の見つめ直し」

――本書では、ある男性社員が子どもに「お父さんは何のために働いているの?」と聞かれたエピソードが出てきます。「仕事に何を求めるか」といった問いは就活生が業界選びの時によく考えるテーマですが、中高年社員にも意味があるのでしょうか。

小林: 「パパは何のために働いているの?」と聞かれて「出世のため」とは言えませんよね。これは、改めて仕事を「他者の視点」で考えられるようになる、ということなのです。

 若いうちは会社の先輩や人事が、自分の仕事が社会的な意義をどう持っているのか教えてくれる場があります。でも、40歳過ぎた人にそんなこと誰も言いません。中高年社員が職位(出世)しか考えてこなかったのなら、組織の外にいる人に「自分が何をやっているのか」を説明することが大事です。

 例えば、キャリア教育で(こうした中高年社員が)学生や子どもに自分の仕事について話すことは、実は話している大人側にとても効果があるのです。言葉が(自分の仕事に)意味、ストーリーを作ってくれる。逆に彼らはそういう機会を奪われてきた、とも言えます。

――調査では、中高年社員がキャリアを見つめなおして再活躍するために、交流会や勉強会といった社外活動の重要性も明らかにしています。「越境的学習」と呼ばれていますが、副収入やキャリア探索といった目的の活動は、本業での活躍にプラスの影響を与えないというちょっと意外なデータもありますね。

小林: この越境的学習の肝は「持ち帰ること」なのです。今の職場が嫌だから副業するというより、アウェイでの経験をホームに生かすのが目的です。例えばIT業界の人は社外の勉強会を特に好みますが、外に居心地のいい場所を作ってしまう人もいます。外の組織をどう実務に生かせるかが大事であり、自分の組織の居心地がよくないので外に行くのであれば要注意です。

photo パーソル総合研究所・主任研究員の小林祐児さん

――このように本書ではあらかじめ「自分が仕事に求めるもの」を見つめ直したミドル・シニアが、ポストオフ後も営業の現場などに戻ってまた活躍する事例が紹介されています。彼らへのアドバイスはこのように割と地味で具体的ですね。一方、くすぶる中高年社員の問題に対しては、「日本型雇用を終わらせるため成果主義や雇用の流動化がすぐ必要」といった急進的な意見もよく目にします。

小林: 人事制度とは蓄積です。ゼロかイチかでいきなりは変わらない。(彼らミドル・シニアも)雇用はされ続けるのですから。「明日から成果主義にしよう」といって、すぐできる企業はないでしょう。終身雇用で人を囲い続けてきたのですから、整合性が取れない。急には変えられない問題ですが、(少なくとも)働く側は明日から行動を変えていくことができるのです。

――「使えない中高年」問題が構造的な問題である以上、現在は批判の対象に無い20〜30代の社員も、将来的には十分陥る可能性のあるワナだとも言えますね。

小林: 今の若い人々、30代で自分が活躍できていると思っているような人ほど、この問題に片足を突っ込んでいるはずです。活躍しているということは、その組織に適応し過ぎているということなのですから。「自分は仕事をできている」という感覚のある20〜30代の人にも、知ってもらいたい問題ですね。

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