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新元号を「フレームワーク思考」で予想してみたまもなく発表(4/4 ページ)

» 2019年03月08日 05時00分 公開
[嶋田毅GLOBIS知見録]
GLOBIS知見録
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 悩ましいのは「4-c)政治との距離感がある」です。恐らく4月や5月の時点では安倍晋三首相が引き続き政権を担当しているものと思われます。そこに「安」という文字を入れることは、少なからぬ批判を招く可能性があります。筆者が仮に総理大臣なら、お手盛り感を避けるため、あらかじめ使わないように要望を出すでしょう。

 一方で、好ましい元号名であるにもかかわらず、たまたま時の首相の姓名にその漢字があるといって外すのはいかがなものか、という意見もあるかもしれません。非常に難しい判断となるでしょうが、ここでは慎重論を採用して「安」の字を含む候補の評価を下げました。このように、評価やそもそもの評価項目の重みづけは、通常一人一人異なりますので、実際には関係各位での慎重な議論が必要です。

 結果として、一番の有力候補は「文承」となりました。文章と音は同じですが、アクセントは異なりますし、文脈上、混乱することもないでしょう。承は小学5年生で習う漢字ですのでやや低学年には難しいかもしれませんが、画数も少なくそれほど難しくはないのでこれも大丈夫でしょう。

 二番目は「弘栄」です(「栄弘」でも大きくは変わりません)。これも企業名や男性のファーストネームと重なることはあるでしょうが、比較的マイナーなので恐らく大丈夫でしょう。「安久」は「安」の字の取り扱い次第ですが、漢字の意味も語感もいいので、ひょっとするともっと上位の候補になるかもしれません。

 このようにフレームワークで考えることで、思考のプロセスが可視化され、議論もしやすくなるのです。その結果として、結論の妥当性も高まります。

 なお、今回取り上げ切れなかった有力候補は他にもありますので、他の候補で「文承」や「弘栄」「安久」に勝るものがないか、ぜひ皆さんご検討ください。

著者プロフィール

嶋田毅(しまだ つよし)

グロービス電子出版 発行人 兼 編集長出版局 編集長

東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブック?』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。

グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。


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