Appleの純資産は7年前から減少? 投資家目線なら分かるその理由【全文公開】Appleの財務を分析する(3/7 ページ)

» 2019年03月13日 13時28分 公開
[hiroITmedia]

iPodで売上は4倍に。ところが……

 iPodという革新的デバイスの登場で、Appleの売上高は2007年には200億ドルを超えました。「いや〜Appleも成功したなあ。巨大企業になったなあ」と皆が思っていました。そんなAppleがさらに成長を続け、10年後には売上高2000億ドル超の世界最大クラスの企業に育つとは、当時誰が想像できたでしょうか。

 直近2018年9月期のAppleの売上高は2655億ドル。iPodが大成功した2007年当時の10倍以上です。この成長をけん引したのが、そうiPhoneです。初代iPhoneが発売されたのが2007年。ここがApple成長の第二のブレークスルーです。

 iPhoneを発表して初めて迎えた2008年9月期決算で、iPhoneの売上高は67億ドルと、すでにiPodの収入に匹敵する規模でした。以降、iPhoneの成長はとどまることを知らず、Appleは「iPhoneの会社」となりました。

Appleの製品別売上高推移(2008年〜2018年)

(単位:百万ドル、ソース:Apple年次報告書)

 上のグラフを見てください。2008年はまだiPodの割合が大きいですが、その後勢力を失っていく様子が一目瞭然です。そして急激にグレー(iPhone)の幅が広がっていきます。Appleの売上高全体に占めるiPhoneの割合は、現在63%にもなります。iPhoneという単一のデバイスがいかにAppleの成長を引っ張ってきたが分かります。

 ここ数年、そのiPhoneの成長にも陰りが見え始めました。それもそのはず、すでにiPhoneの世界稼働台数は9億台を超えています。1000ドル近くもする高額デバイスを持てるのは所得の高い人だけ。9億台という稼働台数が短期的に上向くとは期待できません。恐らく、Apple経営陣は数年前からiPhone市場の成熟化を予想していたことでしょう。

iPhoneの販売台数

(単位:千台、ソース:Apple年次報告書)

 グラフから明らかな通り、iPhoneの販売台数はFY15をピークに頭打ちとなっています。

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