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ミクシィの木村社長が語る「モンスト」と「Facebook」SNS依存からの脱却(5/5 ページ)

» 2019年03月14日 11時30分 公開
[中澤彩奈ITmedia]
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広告・宣伝戦略にも一工夫

 広告・宣伝戦略にも一工夫を凝らした。当時はサービスリリースのタイミングに合わせ広告・宣伝を一気に打ち出し、「ランキング1位!」「ダウンロード数●●万突破!」と目覚ましい成果を強調しつつ、ユーザーを集める手法が一般的だったようだ。

 だが、このような集客で集まったユーザーは1人でゲームを楽しむ「スタンドアローン型」が多い傾向があり、モンストで狙っている「みんなと一緒にゲームを楽しむ」層と少しズレてしまう。「莫大な費用をかけてスタンドアローン型のユーザーを増やしてもあまり意味がない」と考え、モンストのリリース当初は派手な宣伝や広告はほぼしなかった。

 案の定、モンストの立ち上がりは非常に緩やかだったという。しかし、口コミや友だち招待などによるバイラル効果が徐々に現れ始め、ユーザー数は加速度的に増えていった。18年末にはモンスト利用者数は4900万人を突破している。

 「テレビCMの演出にもこだわりました。『みんなでスマホゲームで遊ぶのって、普通だよね』という雰囲気・共通認識を醸成することが重要だと考えたので、CMでは友だちが同じ場に集まってモンストを楽しんでいる光景を映していました。押しつけがましく『みんなで遊ぼう』とメッセージを発してもユーザーは拒否反応を示すと思い、『当たり前の光景』として見える演出にしました」

 ミクシィにとっては初めての挑戦だらけだったモンスト。ある程度の話題性を呼ぶことは想定していたが、アニメーション化されるなど多面展開をするほどまでの作品になるとはうれしい誤算だったと木村社長は振り返る。

photo ミクシィの木村弘毅社長

根底にあるのは“人と人とのつながり”

 木村社長は今後の展望について「ゲーム以外のソーシャルアプリケーションが次の柱になってくる」と語った。

 友だちや家族間のコミュニケーションや消費活動の場になるのは何もゲームだけではない。健康への意識が高まっている昨今では、健康・スポーツ領域にその大きな可能性があるとみている。

 ミクシィは既に、19年1月に子会社スマートヘルスを通じて、女性専用コンディショニングスタジオ「ココサイズ」をオープン。スタジオではAI(人工知能)で体の課題を分析し、一人一人に合ったメニューを提供。スタジオでは参加者が車座になって運動をする仕組みで、みんなで楽しくエクササイズに取り組める場を提供している。

 ただ単に運動などを促進するサービスを展開するのではなく、運動に取り組むシーンにおいても、「友だちや家族と一緒に参加できる場の設計」をすることが鍵になってくるという。

 SNSのmixiもゲームのモンストも、ミクシィのサービスの根底にあるのは“人と人とのつながり”。今後出てくる新たなサービスでも、その軸は変わらない。

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