すべてのAI活用に共通する原則とは何か? トロント大学AI権威アジェイ・アグラワル教授Sansan Innovation Project 2019(3/3 ページ)

» 2019年03月15日 06時30分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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人間そっくりのロボットを作っているSANCTUARYの例。目指すのは共感を得られるロボットだ。この人間そっくりのロボットは、目にカメラ、耳にマイクを備え、相手が話しているときに、声のトーンの変化や姿勢の変化にもとづいて、何を言えば共感を得られるかをAIが予測しているのだという
ちなみにこの写真は、片方が人間で、もう一方がSANCTUARYのロボット(右)

でもAIは「予測」しかできない

 世間では、AIにさまざまな仕事が奪われるという話がしばしば出てくる。こうした話の中では、AIは人間をすべてで上回る万能マシンになるだろうと描かれる。しかしアグラワル氏はこれは誤解だと言う。

 「マスコミは誤解している。人々を怖がらせて、AIはすべてを奪ってしまうと言いがち。でもAIは計算や統計をもとに『予測』をするだけだ。」(アグラワル氏)

 さまざまな行動をコンポーネントに分けると、最初にデータのインプットがある。医療でいえば問診やレントゲン検査などだ。それに基づいて、医師は「きっと打ち身ですね」などと「予測」し、「判断」を下す。そして湿布を出すなどの「アクション」を行う。その後、怪我が治ったり悪化したりといった「結果」が出る。この結果をフィードバックして「学習」が行われる。

 この一連の流れの中で、AIがとって代わるのは「予測」の部分だけだ。

 「AIは人の予測を置き換えるので、人の予測の価値は下がる。しかし、人が持つほかの能力の価値は上がると言える。例えば、AIは判断ができないが、人間はできる。予測は行動に至らなければ価値がないが、人間は行動ができる 」(アグラワル氏)

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